元気回復行動プランとは|WRAPの5つの柱と作り方3ステップを精神保健福祉士が解説

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元気回復行動プラン(WRAP)は、精神的な不調のある方が、自分で元気でいるための方法をまとめる回復のための計画です。精神保健福祉士として相談を受けていると、「調子が崩れてから慌てる」という声をよく聞きます。

この記事では、元気回復行動プランの考え方と作り方を、できるだけやさしく説明します。

この記事で分かること

  • 元気回復行動プランの意味と、5つの大切な考え方
  • プランの7つの構成要素と、作り方の3ステップ
  • クライシスプランとの違いと、就労継続支援B型での活かし方

結論:元気回復行動プランは、専門家から与えられるものではなく、自分自身で作る「自分専用の取扱説明書」です。完璧を目指さず、思いついたことから書き始めて大丈夫です。

元気回復行動プランとは?WRAPの基本

元気回復行動プランは、英語の Wellness Recovery Action Plan の頭文字から「WRAP(ラップ)」と呼ばれます。アメリカでメアリー・エレン・コープランドさんが、自身の経験をもとに仲間と広めた取り組みです。

特徴は、当事者が主役であることです。医師や支援者の指示を書き写すのではなく、自分の経験から「何が役に立つか」を見つけて書き出します。

リカバリー(回復)の考え方に基づいており、病気や症状があっても自分らしく生きることを目指します。リカバリーについてはリカバリーとはの記事も参考にしてください。

元気回復行動プランの5つの大切な考え方は?

WRAPには、土台となる5つの考え方があります。

  1. 希望:よりよい状態になれると信じること
  2. 自分で責任をもつ:自分の元気のために、自分で行動を選ぶこと
  3. 学ぶ:自分や病気、支援について学び続けること
  4. 自分を擁護する:必要なことを自分の言葉で伝えること
  5. サポート:人とのつながりを大切にすること

「自分で責任をもつ」は、一人で頑張るという意味ではありません。助けを求めることも、自分で選ぶ大切な行動です。

元気回復行動プランの構成要素にはどんなものがある?

プランは、調子の段階に合わせたいくつかのパートで作ります。代表的な構成は次のとおりです。

構成要素 内容
元気に役立つ道具箱 気分転換や安心につながる行動・物・人のリスト
日常生活管理プラン 元気なときの自分の状態と、毎日続けたい習慣
引き金 調子を崩すきっかけになりやすい出来事や状況
注意サイン 不調の前触れとして現れる小さな変化
調子が悪くなってきているとき 悪化を防ぐために試す行動
症状が悪化しているとき 周囲に助けを求める方法や連絡先
クライシスプラン 自分で判断が難しいときの対応を、事前に周囲へ伝える計画

なお、構成要素の数え方や呼び方は、資料や研修によって異なる場合があります。

すべてを一度に埋める必要はありません。まずは「元気に役立つ道具箱」から始める方が多いです。

元気回復行動プランの作り方は?3ステップで解説

作り方に決まった正解はありません。ここでは取り組みやすい順番を紹介します。

  1. ステップ1:元気なときの自分を書く。好きなこと、落ち着く場所、睡眠や食事の習慣などを書き出します。
  2. ステップ2:道具箱を作る。散歩、音楽、温かい飲み物、話せる人など、役立った経験をリストにします。
  3. ステップ3:引き金と注意サインを整理する。過去の不調を振り返り、前触れになる変化を言葉にします。

振り返りがつらいときは、無理に思い出さなくて大丈夫です。信頼できる支援者や仲間と一緒に進めると、気持ちが楽になります。

クライシスプランとの違いは?

クライシスプランは、自分で判断や意思表示が難しくなったときのために、対応を事前に決めておく計画です。元気回復行動プランの中の一部分として位置づけられています。

つまり、元気回復行動プランは元気なときから不調時までを幅広く扱い、クライシスプランは最も大変なときに特化した備えです。作成する際は、主治医や支援者と相談しながら進めると安心です。

就労継続支援B型で元気回復行動プランをどう活かす?

働くうえでは、疲れや緊張が積み重なることがあります。元気回復行動プランで自分の注意サインを把握しておくと、「いつもより眠れない」と気づいた時点で職員に相談しやすくなります。

B型事業所では、作業量の調整や休憩の取り方を、本人と職員で話し合えます。プランの内容を共有すれば、個別支援計画にも反映しやすくなります。個別支援計画とはもあわせてご覧ください。

就労継続支援B型の全体像は就労継続支援B型とはで確認できます。

元気回復行動プランを続けるコツは?

  • 書いた内容は定期的に見直し、合わなくなった部分を書き換える
  • 見える場所に置いて、調子が良いときにも読み返す
  • 信頼できる人に、プランの存在を伝えておく

プランは一度作って終わりではありません。経験が増えるたびに育てていくものです。

障害福祉サービス全般の制度については、厚生労働省の障害福祉サービス等の案内も参考になります。

よくある質問

Q. 元気回復行動プランは、一人で作れますか?

A. 一人でも作れますが、仲間や支援者と一緒に進める方も多いです。話しながら整理すると、自分では気づかなかった道具箱や注意サインが見つかることがあります。

Q. 医師に見せる必要はありますか?

A. 必ず見せる決まりはありません。ただ、共有すると診察で状況を伝えやすくなる場合があります。共有の範囲は自分で決められます。

Q. 調子が悪いときに書けなくなりませんか?

A. 不調時は書くことが難しくなるため、元気なときに作っておくのが基本です。書けないときは、信頼できる人に代わりに読み上げてもらう方法もあります。

Q. 学べる場所はありますか?

A. 地域の当事者団体や支援機関などで、WRAPを学ぶ場が開かれていることがあります。詳しくは、お住まいの自治体の窓口や相談支援事業所でご確認ください。

琉仁福祉会では

NPO法人琉仁福祉会は、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型を運営しています。体調の波がある方でも、自分のペースで働けるよう職員が一緒に考えます。

「自分の不調のサインが分からない」「働きながら体調を整えたい」という方は、お気軽にご相談ください。見学や体験利用も受け付けています。

制度や医療に関する判断は、主治医や自治体の窓口とも相談しながら進めてください。

まとめ

元気回復行動プランは、自分の元気を自分で支えるための実践的な道具です。5つの考え方を土台に、道具箱づくりから少しずつ始めてみてください。

一人で抱え込まず、支援者や仲間の力を借りながら、自分らしい回復の形を見つけていきましょう。

お住まいの地域で相談できる窓口

就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。

  • 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
  • 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
  • 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
  • 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談

「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。

沖縄にお住まいの方へ

NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。