セルフスティグマとは|自分を責めない5つの対処法を精神保健福祉士が解説

セルフスティグマを解説する記事のアイキャッチ画像

セルフスティグマとは、社会にある偏見を無意識に取り込み、自分自身に向けてしまう心の働きのことです。精神保健福祉士として相談を受けていると、「病気になった自分はダメだ」と話す方に数多くお会いします。

この記事では、セルフスティグマの仕組みと対処の考え方を、できるだけ分かりやすく整理します。

この記事で分かること

  • セルフスティグマの意味と、起こる3つの段階
  • 自分を責める気持ちを和らげる5つの対処法
  • 一人で抱え込まないための相談先と福祉サービス

結論:セルフスティグマは「性格の弱さ」ではありません

結論からお伝えすると、セルフスティグマは意志の弱さや性格の問題ではありません。社会の偏見に長く触れた結果、誰にでも起こりうる自然な反応です。

だからこそ、仕組みを知り、少しずつ手放していくことができます。

セルフスティグマとは?意味と社会的スティグマとの違い

スティグマとは、特定の属性に対する否定的なレッテルや偏見のことです。精神障害のある方に向けられる偏見を「社会的スティグマ」と呼びます。

セルフスティグマは、その偏見を当事者自身が内面化したものです。周囲から言われなくても、自分で自分に「どうせ無理」と言い聞かせてしまいます。

種類 偏見の向き先 具体例
社会的スティグマ 他者・社会から当事者へ 「精神疾患の人は危ない」という思い込み
セルフスティグマ 当事者から自分自身へ 「病気の自分は価値がない」という自責
構造的スティグマ 制度や慣習の中にある不利益 採用や住まい探しでの不利な扱い

セルフスティグマはなぜ起こる?3つの段階

研究では、セルフスティグマは段階的に進むと説明されることが多いです。ここでは分かりやすく3つに整理します。

段階1:偏見に気づく

「精神疾患は恥ずかしいこと」という社会の見方を知っている状態です。この段階では、まだ自分のこととは捉えていません。

段階2:偏見に同意する

「その通りかもしれない」と感じ始める段階です。自己肯定感が下がり、自責の気持ちが強まります。

段階3:行動に影響が出る

「どうせ断られる」と考え、就職・通院・相談を避けるようになります。支援につながる機会が減る点が、最も大きな問題です。

セルフスティグマが生活や就労に与える影響は?

セルフスティグマは、気持ちの問題にとどまりません。生活のさまざまな場面に影響します。

  • 通院や服薬を後回しにしてしまう
  • 福祉サービスや手帳の利用をためらう
  • 自己開示ができず、職場で孤立する
  • 「働けない」と決めつけ、挑戦を避ける

特に就労では、「どうせ雇ってもらえない」という思い込みが一歩目を重くします。まずは小さな挑戦から始められる場として、就労継続支援B型の仕組みと対象者を知っておくと選択肢が広がります。

セルフスティグマを和らげる5つの対処法は?

1. 自分の考えを書き出して眺める

「自分はダメだ」という考えが浮かんだら、紙に書き出します。事実と思い込みを分けて見ることで、認知の歪みに気づきやすくなります。これは認知行動療法の基本的な考え方です。

2. 病気と自分を切り分けて考える

「私は病気そのものではない」という視点を持ちます。病気は人生の一部であり、あなたの価値を決めるものではありません。

3. 正しい知識を得る(心理教育)

病気や制度を正しく知ることで、漠然とした恥ずかしさが減っていきます。医療機関や事業所の心理教育プログラムも役立ちます。

4. ピアサポートで仲間とつながる

同じ経験をした当事者と話すと、「自分だけではない」と実感できます。ピアサポートや自助グループは、セルフスティグマを和らげる力があるとされています。

5. 回復の物語を自分の言葉で描く

リカバリーとは、症状がなくなることだけではなく、自分らしい生き方を取り戻す過程です。詳しくはリカバリーの考え方と支援のポイントもご覧ください。

セルフスティグマは誰に相談する?相談先の選び方

一人で抱え込まず、信頼できる人や専門職に話すことが大切です。相談先の例を整理します。

相談先 向いている相談
主治医・精神科の相談員 症状や服薬、気持ちの落ち込み
相談支援専門員 福祉サービスの利用や生活全般
精神保健福祉センター・自治体窓口 制度や地域の支援の案内
ピアサポートグループ 同じ経験を持つ人との対話

制度の内容や窓口は自治体によって異なります。詳細はお住まいの自治体の窓口でご確認ください。福祉サービス全体の概要は厚生労働省の障害福祉サービス等の解説で確認できます。

手帳の取得をためらう方も少なくありません。精神障害者保健福祉手帳の仕組みを知ることも、偏見を和らげる一歩になります。

よくある質問

Q. セルフスティグマは病気ですか?

A. 病気や診断名ではなく、偏見を内面化した心の状態を指す言葉です。ただし、気分の落ち込みが続く場合は、主治医に相談することをおすすめします。

Q. セルフスティグマはなくせますか?

A. 完全になくすというより、「少しずつ弱める」ものと考えられています。知識を得る、仲間と話す、考え方を見直すといった取り組みが助けになることがあります。

Q. 家族や周囲はどう接すればよいですか?

A. 否定せず、まず話を聴くことが基本です。「頑張れ」と励ますより、「話してくれてありがとう」と受け止める姿勢が安心につながりやすいです。

Q. 職場に病気を伝えるべきか迷っています。

A. 伝えるかどうかは、ご自身が決めてよいことです。メリットと不安の両方を整理し、支援機関や相談支援専門員と一緒に検討すると、納得して選びやすくなります。

琉仁福祉会のご案内

NPO法人琉仁福祉会は、沖縄県で就労継続支援B型を運営しています。「自分を責めてしまう」「何から始めればよいか分からない」という段階からのご相談も歓迎です。見学や体験のご相談は、お気軽にお問い合わせください。

まとめ:自分を責める気持ちは、少しずつ手放せます

セルフスティグマは、社会の偏見が心に入り込んだ自然な反応であり、あなたの弱さではありません。

気づく、知る、つながる、書き出す。この小さな積み重ねが、自分らしい回復への土台になります。医療・制度の判断は主治医や自治体窓口にご確認のうえ、一人で抱え込まずに相談してください。

執筆:田中圭周(精神保健福祉士/NPO法人琉仁福祉会 理事長)

お住まいの地域で相談できる窓口

就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。

  • 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
  • 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
  • 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
  • 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談

「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。

沖縄にお住まいの方へ

NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。