就労パスポートは、精神障害や発達障害のある方が自分の特性・必要な配慮を整理し、就職活動の場で事業主にわかりやすく伝えるための記録シートです。
「面接でうまく自分のことを話せない」「職場に配慮をお願いしたいが、どう伝えればいいかわからない」——そんな悩みを抱える方にとって、就労パスポートは大きな助けになります。
精神保健福祉士として長年B型事業所での支援に携わってきた立場から、就労パスポートの目的・記載項目・書き方のコツを詳しく解説します。
就労パスポートとは
就労パスポートは、厚生労働省が推進する障害のある方向けの就労支援ツールです。
精神障害・発達障害のある方が「自分はどんな特性を持っているか」「どんなサポートがあれば働きやすいか」を整理し、事業主や支援機関に伝えるためのシートです。ハローワークや就労支援機関で活用が広がっています。
特に一般就労を目指す方にとって、面接前の自己理解の深化と、採用後の職場定着の両方に役立ちます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 精神障害・発達障害のある方(手帳なしでも活用可) |
| 目的 | 特性・配慮事項の整理と職場への伝達 |
| 主な活用場面 | 就職活動・面接・採用後の職場適応 |
| 作成・活用できる機関 | ハローワーク、就労支援機関、B型事業所など |
| 費用 | 無料(厚労省サイトから様式をダウンロード可) |
就労パスポートが必要な理由
障害のある方が就職活動をする際、「自分の特性をどう伝えればいいかわからない」という声は非常に多く聞かれます。
事業主側も、採用後に「どんな配慮が必要か」を事前に把握できれば、職場環境を整えやすくなります。就労パスポートはこの「橋渡し」をする役割を担っています。
精神保健福祉士として多くの就職支援に関わってきた経験から言えば、このシートを活用した方のほうが入社後の早期離職が少ない印象があります。双方の理解が深まり、ミスマッチが減るからです。
就労パスポートの5つの記載項目
就労パスポートには大きく5つのカテゴリーがあります。それぞれの内容を見ていきましょう。
①基本情報
氏名・障害名・主治医・支援機関などを記載します。個人情報の取り扱いについては、支援者と事前に確認しておきましょう。
②私の特性(得意なこと・苦手なこと)
集中が続く時間・得意な作業の種類・コミュニケーションのスタイルなどを記載します。ネガティブな面だけでなく、自分の強みも積極的に書くことが大切です。
③私への配慮事項
「繁雑な口頭指示より文字での指示が助かる」「急な予定変更に対応が難しい」など、職場でお願いしたいサポートを具体的に書きます。遠慮せず伝えることが職場定着への第一歩です。
④私の就労に関する情報
過去の職歴・体調の波のパターン・体調が安定しているときの特徴などを記載します。体調の変動をあらかじめ伝えることで、事業主も対応しやすくなります。
⑤支援者からのコメント
B型事業所や就労移行支援のスタッフが客観的な視点でコメントを添えます。本人の言葉を補い、信頼性を高める効果があります。第三者の視点は事業主への説得力を増します。
就労パスポートの書き方のコツ
就労パスポートを書く際は、以下のポイントを意識しましょう。
- ネガティブな表現を言い換える:「人が怖い」ではなく「少人数の落ち着いた環境で力を発揮できる」というように強みとして伝え直しましょう
- 具体的なエピソードを盛り込む:「注意散漫になりやすい」ではなく「長時間の会議は集中が続きにくいため、30分ごとに短い休憩があると助かります」のように具体化します
- 一人で書かない:支援スタッフと一緒に作成することで、自分では気づかない強みを発見できます。就労パスポートはチームで完成させるものです
- 定期的に更新する:体調や状況は変化します。就労パスポートも成長とともにアップデートしていきましょう
就労パスポートは「完璧に書かなければならない」ものではありません。最初は箇条書きでも構いません。スタッフと対話しながら少しずつ内容を充実させていきましょう。
B型事業所での就労パスポート活用法
就労継続支援B型事業所は、就労パスポートの作成に最適な場所です。
日々の作業や訓練を通じて「自分の得意なこと・苦手なこと」が少しずつ見えてきます。その気づきをスタッフとともに記録し、就労パスポートに反映させることができます。
沖縄市・埼玉県で就労継続支援B型を運営するNPO法人琉仁福祉会でも、個別支援計画と連携しながら就労パスポートの作成支援を行っています。「将来は一般就労を目指したい」という方は、早い段階から取り組むことをお勧めします。
就労アセスメントと組み合わせることで、より精度の高い自己理解が得られます。また、就労定着支援へのスムーズな移行にも役立ちます。
就職活動・面接での活かし方
就労パスポートを面接の場で活用する方法はいくつかあります。
- 面接前の準備として活用:シートを見ながら「自分の強み」「配慮事項」を整理し、伝え方を練習する
- 面接当日に提示する:事業主の同意を得た上でシートを見せながら説明すると、具体的に伝わりやすくなります
- 採用後の職場適応に活かす:上司や人事担当者とシートを共有し、職場環境の整備に役立てましょう
ただし、就労パスポートの提示はあくまでも任意です。開示するかどうかは本人が決めることができます。オープン就労とクローズ就労のどちらを選ぶかも含めて、支援スタッフと相談しながら進めていきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1:就労パスポートはどこでもらえますか?
厚生労働省のホームページから様式を無料でダウンロードできます。ハローワークや就労支援機関でも取得・作成支援が受けられます。支援機関によっては、記入をスタッフがサポートしてくれます。
Q2:就労パスポートを作ると一般就労しなければいけませんか?
そのような決まりはありません。自己理解を深めるためのツールとして活用するだけでも意味があります。就労パスポートを作ること自体が目標ではなく、「自分らしい働き方を見つけること」が本来の目的です。
Q3:B型事業所に通いながら就労パスポートを作れますか?
もちろんです。むしろB型での日々の作業が「自分の特性を知る」絶好の機会です。スタッフと一緒に、少しずつ記録を積み重ねていきましょう。
Q4:障害者手帳がないと就労パスポートは使えませんか?
就労パスポートの活用に障害者手帳は必須ではありません。ただし、精神障害者保健福祉手帳を取得することで就労支援サービスを受けやすくなる場合があります。詳しくは支援スタッフにご相談ください。なお医療的な判断については、必ず主治医にご確認ください。
Q5:自立支援医療を受けながら就労パスポートを活用できますか?
はい、両立できます。自立支援医療(精神通院)で通院を継続しながら、就労パスポートを活用して就職を目指すことは一般的なサポートの流れです。医療と就労支援を組み合わせて取り組みましょう。
琉仁福祉会が就労パスポートの作成をサポートします
NPO法人琉仁福祉会は、沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型を運営しています。
「将来は一般就労を目指したい」「自分の特性をうまく整理したい」という方を、精神保健福祉士をはじめとした専門スタッフが丁寧にサポートします。
まずはお気軽にご連絡ください。あなたのペースに合わせて、一歩一歩丁寧にサポートします。
まとめ
就労パスポートは、精神障害・発達障害のある方が就職活動で「自分を正確に伝える」ための心強いツールです。
重要なポイントをまとめます。
- 就労パスポートは厚生労働省推進の記録シート。精神障害・発達障害のある方が対象
- 得意なこと・苦手なこと・必要な配慮を整理し、事業主に伝えるために活用する
- B型事業所や就労移行支援のスタッフと一緒に作成するのが最も効果的
- 就労パスポートの提示は任意。開示するかどうかは本人が自分で決めてよい
- 定期的に更新し、自分の成長を記録し続けることが長期的な職場定着につながる
「一人で頑張らなくていい」——琉仁福祉会のスタッフが、あなたの就労を一歩一歩サポートします。体験利用やご相談はいつでも受け付けていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お住まいの地域で相談できる窓口
就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。
- 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
- 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
- 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
- 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談
「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。
沖縄・埼玉にお住まいの方へ
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県川口市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。
