双極性障害は、気分が高まる「躁(そう)状態」と落ち込む「うつ状態」を繰り返す精神疾患で、働き続けられるか不安を感じる方が少なくありません。本記事では、双極性障害のある方が就労継続支援B型をどのように活用できるのか、症状への配慮や利用までの流れを精神保健福祉士として解説します。
この記事で分かること
- 双極性障害の症状と気分の波の特徴
- 双極性障害でも就労継続支援B型を利用できる条件
- 双極性障害の症状に配慮したB型での働き方と注意点
結論からお伝えすると、双極性障害の診断があっても、主治医の意見を踏まえたうえで多くの場合、就労継続支援B型を利用できます。ご自身の気分の波に合わせて出勤日数や作業内容を調整しながら、無理のない形で社会とのつながりを保てる点が特徴です。ただし数値や制度の詳細は自治体や事業所によって異なるため、断定はせず、確認先を都度示しながら説明します。
双極性障害とは何か、症状とタイプを解説
双極性障害とは、気分が異常に高揚する躁状態と、気力が落ち込むうつ状態を繰り返す精神疾患です。躁状態が比較的軽く日常生活への影響が少ない「双極II型」と、入院が必要になるほど症状が強く出やすい「双極I型」に大きく分類されます。原因はまだ完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質のバランスや遺伝的な要因、環境からのストレスなどが関係すると考えられています。躁状態では活動的になりすぎて浪費や対人トラブルにつながることがあり、うつ状態では強い倦怠感や意欲の低下が続きます。
双極性障害の症状にはどんな気分の波があるのか
双極性障害の特徴は、この躁状態とうつ状態が一定の周期で繰り返される「気分の波」にあります。人によって波の周期や強さは大きく異なり、数か月単位で波がある方もいれば、比較的短いサイクルで気分が変動する方もいます。生活リズムの乱れや睡眠不足、強いストレスが波を大きくする引き金になりやすいため、規則正しい生活と服薬管理が症状の安定に重要とされています。
双極性障害でも就労継続支援B型は利用できるか
結論として、双極性障害の診断があることを理由に就労継続支援B型の利用を断られることは基本的にありません。就労継続支援B型は雇用契約を結ばずに、自分のペースで軽作業などに取り組める障害福祉サービスです。利用にあたっては、市区町村が発行する「受給者証」の取得が必要になります。精神障害者保健福祉手帳がなくても、主治医の診断書や意見書があれば利用できるケースが多いため、まずはお住まいの自治体の障害福祉窓口や事業所に相談することをおすすめします。あわせて、通院医療費の自己負担を軽減できる自立支援医療(精神通院医療)制度を利用しながら通所を続けている方も多く見られます。就労継続支援B型についての基本的な仕組みは、就労継続支援B型とはで、自立支援医療の詳細は自立支援医療(精神通院)とはで詳しく解説しています。
双極性障害の躁状態・うつ状態へのB型での配慮
就労継続支援B型では、双極性障害の気分の波に合わせて働き方を調整できる点が大きな利点です。うつ状態が強い時期は出勤日数を減らして休養を優先し、体調が安定している時期は作業量を増やすといった柔軟な対応が可能な事業所が多くあります。躁状態のときに活動量が増えすぎないよう、スタッフが声かけを行いながら生活リズムを整えるサポートをする事業所もあります。精神保健福祉士として日々の面談の中で感じるのは、無理に「普通に働くこと」を目指すよりも、自分の波を理解しながら付き合っていく姿勢が、結果的に長く働き続けることにつながるという点です。
双極性障害でB型を利用するメリット
就労継続支援B型を利用する主なメリットは次のとおりです。雇用契約がないため体調に応じて出勤日数や時間を調整しやすいこと、作業を通じて生活リズムを整えやすいこと、同じような悩みを持つ利用者やスタッフに相談しながら働けることが挙げられます。工賃(賃金に相当する対価)は一般的な最低賃金の水準より低くなる傾向がありますが、体調を最優先にしながら社会とのつながりを保てる点は、症状が不安定になりやすい双極性障害の方にとって大きな支えになります。
双極性障害でB型を利用する際の注意点・デメリット
一方で注意すべき点もあります。工賃は事業所や作業内容によって差があり、生活費のすべてを賄えるほどの金額にはならないことが一般的です。また、事業所によって双極性障害への理解度や対応の柔軟さに差があるため、事前の事業所見学や体験利用を通じて、自分に合った環境かどうかを確認することが大切です。服薬管理や通院の継続を軽視すると症状が不安定になりやすいため、主治医や精神保健福祉士など専門職と連携しながら利用を続けることをおすすめします。
双極性障害の人がB型利用を始めるまでの流れ
就労継続支援B型の利用を始めるまでの一般的な流れは、以下のとおりです。
- 相談支援専門員や自治体の窓口へ相談する
- 気になる事業所の見学・体験利用を申し込む
- 主治医の診断書・意見書を用意する
- 市区町村へ受給者証を申請する
- 受給者証の交付後、事業所と契約して利用を開始する
| ステップ | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 1. 相談 | 自治体窓口・相談支援専門員への相談 | 随時 |
| 2. 見学・体験 | 事業所の雰囲気や作業内容の確認 | 数日〜数週間 |
| 3. 申請 | 受給者証の申請、診断書の準備 | 自治体により異なる |
| 4. 利用開始 | 事業所と契約し通所を開始 | 受給者証交付後 |
よくある質問
Q. 双極性障害でも就労継続支援B型は利用できますか?
A. 多くの場合、双極性障害の診断があっても利用できます。精神障害者保健福祉手帳がなくても、主治医の診断書や意見書があれば申請できるケースが一般的です。詳しい条件はお住まいの自治体の窓口でご確認ください。
Q. 双極性障害の症状が重い時期はどうすればいいですか?
A. うつ状態や躁状態が強く出ている時期は、無理に通所を続けず、まずは休養と通院を優先することが大切です。事業所のスタッフや主治医に相談しながら、出勤日数を一時的に減らすなどの調整を検討しましょう。
Q. 双極性障害でB型を利用する際にかかる費用はどのくらいですか?
A. 利用料には所得に応じた自己負担上限額が設けられており、多くの方は自己負担が発生しない、または少額で済むケースが多いとされています。正確な金額はお住まいの自治体の窓口でご確認ください。
Q. 双極性障害でB型からの一般就労は目指せますか?
A. 症状が安定し、ご本人が希望される場合は、就労移行支援など他のサービスに移行しながら一般就労を目指す道もあります。焦らず、まずは体調の安定を優先しながら段階的にステップアップすることをおすすめします。
Q. 双極性障害の家族はどこに相談すればいいですか?
A. お住まいの自治体の障害福祉窓口や精神保健福祉センター、相談支援事業所などが相談先になります。ご本人だけでなくご家族の悩みも受け止めてくれる窓口があるので、一人で抱え込まずに活用してください。
琉仁福祉会でのサポートについて
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型事業所を運営しています。精神保健福祉士など専門職が在籍し、双極性障害をはじめとする精神障害のある方お一人おひとりの気分の波に合わせた働き方を一緒に考えています。見学や体験利用も受け付けていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。あわせて精神障害者保健福祉手帳とはのページもご参照いただくと、制度の全体像がつかみやすくなります。制度の詳細は、厚生労働省 障害福祉サービスについてもあわせてご確認ください。
まとめ
双極性障害は躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患ですが、気分の波に理解のある就労継続支援B型を活用することで、無理のないペースで社会とのつながりを保つことができます。事業所ごとに対応の柔軟さは異なるため、見学や体験利用を通じて自分に合った環境を見つけることが大切です。不安なことがあれば、一人で抱え込まずに自治体の窓口や事業所へ相談してみてください。

