ストレスコーピングとは、ストレスの原因や反応に対して、自分なりの対処を意識して選ぶ考え方です。精神保健福祉士として相談を受けていると、「つらいのに何をすればいいか分からない」という声をよく聞きます。
この記事では、精神障害のある方が日常で試しやすい対処法を、できるだけ具体的にお伝えします。
この記事で分かること
- ストレスコーピングの意味と、2つの基本タイプ
- 今日から試せる5つの対処法と選び方
- 自分に合う方法の記録のしかたと相談先
結論:ストレスコーピングは「引き出しを増やす」こと
結論から言うと、大切なのは一つの方法に頼らないことです。状況に合わせて使える対処法を複数持っておくと、気持ちの波に振り回されにくくなります。
ただし、症状が強いときは自己流で頑張りすぎず、主治医や支援者に相談してください。
ストレスコーピングとは?2つの基本タイプ
ストレスのもとになる出来事を「ストレッサー」、それによる心身の変化を「ストレス反応」と呼びます。ストレスコーピングは、この両方に働きかける工夫の総称です。
代表的な分け方が、問題焦点型と情動焦点型の2つです。
| タイプ | ねらい | 具体例 |
|---|---|---|
| 問題焦点型 | 原因そのものを変える | 作業量を相談する、配置を変えてもらう |
| 情動焦点型 | 気持ちの負担を和らげる | 気分転換、呼吸法、人に話す |
どちらが正しいということはありません。原因を変えられるかどうかで使い分けるのが基本です。
たとえば、作業量が多すぎて困っているなら問題焦点型で職員に相談し、変えられない騒音などには情動焦点型で気持ちを整えます。
ストレスコーピングの具体例は?今日から試せる5つ
1. 呼吸法でリラクセーションする
ゆっくり息を吐くことに意識を向けるだけでも、体の緊張が和らぐことがあります。椅子に座ったまま短時間でできるため、作業の合間にも取り入れやすい方法です。
2. 気分転換の時間を決めておく
散歩や音楽、お茶を飲むなど、心地よいと感じる行動をあらかじめ決めておきます。つらくなってから考えるより、選ぶ負担が少なくなります。
3. 考え方の癖に気づく
「どうせ失敗する」といった認知の偏りに気づくだけでも、気持ちが少し楽になります。詳しくは認知行動療法の解説も参考になります。
4. 睡眠と生活リズムを整える
睡眠不足はストレスへの耐性を下げやすいといわれます。起きる時間をそろえるなど、小さな工夫から始めましょう。生活リズムの整え方もあわせてご覧ください。
5. 信頼できる人に相談する
人に話すことは、立派なストレスコーピングの一つです。家族や支援者、主治医など、話しやすい相手を一人でも持っておくと安心につながります。
ストレスコーピングはいつから始める?調子が良いときが目安
対処法の練習は、体調が安定しているときに始めるのがおすすめです。つらい最中に新しいことを覚えようとすると、かえって負担になります。
調子の良い日に呼吸法や気分転換を試しておけば、不調のときに「いつもの方法」として使えます。あらかじめ書き出しておくと、クライシスプランづくりにも役立ちます。
家族や支援者に自分の対処法を伝えておくと、周囲も声かけがしやすくなります。一人で守るのではなく、周りと共有することも大切なストレスコーピングです。
ストレスコーピングが続かないときは?記録のコツ
対処法は、試した結果を記録すると自分に合うものが見えてきます。難しく考えず、次の3点だけメモしてみてください。
- どんな場面でストレスを感じたか
- どの対処法を試したか
- 終わった後の気分はどう変わったか
効果が薄かった方法は、やめて構いません。合わなかったという情報も、大切な手がかりです。
ストレスコーピングと働くことの関係
働く場面では、ストレッサーが毎日のように発生します。そのため、対処法を持っているかどうかが、通所や就労の安定に関わりやすくなります。
就労継続支援B型では、事業所によっては体調に合わせて通所日数や作業量を調整でき、職員に相談しながら対処法を試せます。制度の概要は就労継続支援B型とはで解説しています。
通院が必要な方は、自立支援医療(精神通院)の利用も選択肢です。対象や自己負担はお住まいの自治体の窓口でご確認ください。
ストレスコーピングで注意したいこと
飲酒や過食、買い物などで一時的に気をそらす方法は、続けると負担が増えることがあります。気づいたときは、一人で抱えずに相談してください。
また、眠れない日が続く、気分の落ち込みが強いなどの場合は、対処法の工夫だけで解決しようとせず、早めに主治医へ伝えることが大切です。
福祉サービスの全体像は、厚生労働省の障害福祉サービス等の案内で確認できます。
よくある質問
Q. ストレスコーピングは病気の治療の代わりになりますか。
A. 治療の代わりにはなりません。主治医の診察や服薬と並行して、日常を支える工夫として取り入れるものです。症状が心配なときは、必ず主治医に相談してください。
Q. ストレスコーピングはどのくらいで効果が出ますか。
A. 個人差が大きく、一概には言えません。1回で変化を求めず、数週間ほど記録をつけながら、自分に合う方法を探すのがおすすめです。
Q. 気分転換がうまくできません。どうすればいいですか。
A. 最初から楽しめなくても問題ありません。短時間で終わる簡単な行動から試し、合わなければ別の方法に変えましょう。職員や支援者と一緒に探すこともできます。
Q. 事業所の職員にストレスの相談をしてもよいですか。
A. もちろん可能です。相談を通じて、作業内容や休憩のとり方を一緒に見直せます。気軽に声をかけてください。
琉仁福祉会にご相談ください
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市などで就労継続支援B型を運営しています。体調やストレスの波に合わせた通所を一緒に考えますので、見学や体験利用もお気軽にご相談ください。
まとめ
ストレスコーピングは、対処法の引き出しを増やして自分を守る考え方です。呼吸法や気分転換、睡眠、相談などを試し、合うものを記録しながら見つけていきましょう。
つらさが強いときは、一人で抱えず専門職に頼ってください。執筆:精神保健福祉士・田中圭周(NPO法人琉仁福祉会 理事長)
お住まいの地域で相談できる窓口
就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。
- 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
- 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
- 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
- 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談
「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。
沖縄にお住まいの方へ
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。

