人間関係の悩みは、精神障害のある方が働くうえで多くの方が感じる課題のひとつです。精神保健福祉士として相談を受けていると、「仕事そのものより、人との関わりで疲れてしまう」という声をよく耳にします。
この記事では、職場や就労継続支援事業所で試せる工夫を、できるだけ具体的にお伝えします。
この記事で分かること
- 人間関係で疲れやすくなる主な理由
- 職場や事業所で試せる5つの距離感のコツ
- 一人で抱え込まないための相談先
結論:人間関係は「距離感」と「相談先」で和らぐ
結論からお伝えすると、人間関係の悩みは「頑張って好かれること」ではなく、「無理のない距離感を決めること」と「相談できる人を持つこと」で和らぐことが多いです。
全員と仲良くなる必要はありません。仕事を進めるために必要な最低限のコミュニケーションができれば、十分に安定して働けます。
人間関係で疲れやすいのはなぜ?
精神障害のある方は、ストレスへの感じ方が敏感になっている時期があります。そのため、周囲の表情や言い方を気にしすぎて、気づかないうちに消耗しやすくなります。
主な理由として、次のようなものがあります。
- 相手の言葉を悪い意味に受け取りやすい
- 断ることや意見を伝えることが苦手
- 雑談や集団行動に気を使いすぎる
- 調子が悪いことを言い出せず、孤立しやすい
これは性格の弱さではなく、疲れやすさの特性として捉えると、対処の糸口が見えてきます。
人間関係の悩みを和らげる5つのコツ
コツ1:話す量より「聞き方」を整える
うまく話そうとするほど緊張が強まります。相づちとうなずきを意識して、相手の話を聞く側に回ると、負担がぐっと減ります。
コツ2:断り方を短い定型文にしておく
断る場面は、あらかじめ言葉を決めておくと楽になります。たとえば「今日は体調を整えたいので、先に失礼します」のように、短く丁寧に伝えます。理由を長く説明する必要はありません。
コツ3:休憩の過ごし方を自分で決める
休憩時間まで人に合わせると、疲れが抜けません。一人で過ごす時間を確保することは、わがままではなく、働き続けるためのセルフケアです。
コツ4:困りごとは「事実」と「希望」で伝える
「あの人が苦手です」ではなく、「大きな声で指示されると混乱するので、メモでもらえると助かります」のように、事実と希望をセットで伝えます。合理的配慮の相談にもつながります。
コツ5:しんどさのサインを早めに共有する
調子が崩れる前に、支援員や上司に「少し疲れています」と伝えておきます。早めの共有は、孤立を防ぐ大切な習慣です。
たとえば、朝のあいさつだけを丁寧にして、あとは作業に集中する方法もあります。会話の量を減らしても、仕事への誠実さは十分に伝わります。
「うまくやらなければ」という思い込みが強いほど、疲れは溜まります。小さな工夫を一つずつ試し、合うものだけを続けてみてください。
職場と就労継続支援B型では人間関係はどう違う?
働く場によって、人との関わり方や相談のしやすさは変わります。代表的な違いを表にまとめます。
| 項目 | 一般の職場 | 就労継続支援B型の事業所 |
|---|---|---|
| 関わる人 | 同僚・上司・取引先など幅広い | 利用者仲間と支援員が中心 |
| 相談のしやすさ | 職場や制度により異なる | 支援員に相談しやすい事業所が多い |
| 体調への配慮 | 配慮の範囲は職場ごとに異なる | 通所日数や時間を相談して調整できる場合が多い |
| 距離感の調整 | 自分から伝える工夫が必要 | 支援員が間に入って調整できる場合がある |
就労継続支援B型の仕組みについては、就労継続支援B型とはの記事で詳しく解説しています。
人間関係がつらいときの相談先はどこ?
一人で抱え込む前に、次のような相談先を使うことができます。
- 通っている事業所の支援員やサービス管理責任者
- 相談支援専門員(計画相談支援の担当者)
- 主治医や精神保健福祉士などの医療機関スタッフ
- お住まいの市区町村の障害福祉の窓口
障害福祉サービス全体の仕組みは、厚生労働省の障害福祉サービスの解説ページで確認できます。
働く場所の選択に迷う場合は、就労継続支援B型と就労移行支援の違いも参考にしてください。
なお、症状や服薬については自己判断をせず、必ず主治医にご相談ください。
人間関係の悩みで事業所を選ぶときのポイントは?
事業所を選ぶときは、見学で次の点を確認すると安心です。
- 支援員が利用者の話を丁寧に聞いているか
- 一人で作業できるスペースや時間があるか
- 体調に合わせて休憩や早退を相談しやすいか
- 雰囲気が自分に合うか(体験利用で確かめる)
見学や体験で実際の空気を感じてみることが、いちばん確実な判断材料になります。
よくある質問
Q. 人間関係が苦手でも働けますか?
A. 働ける方は多くいらっしゃいます。人との関わりが少ない作業を選んだり、支援員を間に入れたりすることで、負担を調整できます。まずは自分に合う環境を一緒に探すことが大切です。
Q. 職場の人に障害のことを伝えるべきですか?
A. 伝えるかどうかは、ご本人が決めて問題ありません。配慮を受けたい場合は、伝える範囲を相談しながら決める方法もあります。迷うときは支援機関に相談してください。
Q. 苦手な人と同じ場所で働くのがつらいときはどうすればいいですか?
A. まず、つらい場面を具体的にメモして、支援員や上司に相談してみましょう。席の配置や作業の分担を変えられる場合があります。我慢を続ける前に早めに相談することをおすすめします。
Q. 孤立してしまい、誰にも相談できません。
A. 相談支援専門員や市区町村の窓口など、話を聞いてくれる専門職がいます。最初は「話を聞いてほしい」だけでも構いません。詳しい制度はお住まいの自治体の窓口でご確認ください。
琉仁福祉会でもご相談を受け付けています
NPO法人琉仁福祉会は、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型事業所を運営しています。人との関わりに不安がある方も、見学や体験利用から無理なくご相談いただけます。
まとめ:人間関係は一人で抱えず、距離感を整えよう
人間関係の悩みは、距離感の工夫と早めの相談で和らげることができます。完璧を目指さず、自分のペースを守ることが長く働く土台になります。
精神保健福祉士として、一人ひとりに合う環境探しをお手伝いします。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
お住まいの地域で相談できる窓口
就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。
- 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
- 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
- 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
- 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談
「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。
沖縄にお住まいの方へ
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。

