摂食障害を抱えながら、「働きたいけれど自分にできる仕事があるのか」「体調に波があっても続けられる場所はあるのか」と悩んでいませんか。就労継続支援B型は、雇用契約を結ばずに自分のペースで働ける福祉サービスで、摂食障害の特性に配慮した支援を受けながら社会とのつながりを保てる選択肢のひとつです。この記事では、精神保健福祉士として多くの方の相談を受けてきた経験をもとに、摂食障害の方が就労継続支援B型を利用する際のポイントを解説します。
この記事で分かること
- 摂食障害の方が就労継続支援B型を利用できるかどうかの考え方
- 摂食障害の特性に配慮した支援内容や1日の過ごし方
- 利用開始までの流れと工賃の目安
結論から言うと、摂食障害の診断があることを理由に就労継続支援B型の利用を断られることは基本的にありません。体調の波に合わせて通う日数や作業内容を調整できるため、無理なく社会参加を続けたい方に向いているサービスです。ただし、事業所によって対応できる配慮の内容は異なるため、事前の相談や見学が欠かせません。
摂食障害とは
摂食障害は、食べる量や食べ方(食行動)に関するコントロールが難しくなる精神疾患の総称です。極端に食事量を減らす拒食症(神経性やせ症)、短時間に大量に食べてしまう過食症(神経性過食症)などが代表的で、体重や体型への強いこだわり、自己肯定感の低下を伴うことが少なくありません。
摂食障害は思春期から成人期にかけて発症することが多く、治療には心療内科や精神科への通院、主治医との継続的な連携が重要とされています。ストレスや対人関係の悩みが食行動の乱れにつながるケースもあり、心身両面からの支援が必要とされる疾患です。
摂食障害の方は就労継続支援B型を利用できる?
就労継続支援B型は障害者総合支援法に基づくサービスで、身体・知的・精神障害のある方が対象です。摂食障害は精神疾患に位置づけられるため、主治医の診断書や意見書があれば利用対象になります。障害者手帳の有無は必須ではなく、自治体が発行する障害福祉サービス受給者証があれば利用できます。制度の詳しい内容は厚生労働省の障害福祉サービス等の内容でも確認できます。
サービスの基本的な仕組みについては、以下の記事でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。就労継続支援B型とは
摂食障害の方への配慮・支援内容
摂食障害の症状は体調によって波があるため、就労継続支援B型では次のような配慮を行っている事業所が多く見られます。
- 通所日数や作業時間を体調に合わせて調整する
- 食事や休憩のタイミングに無理のない範囲で配慮する
- 体重や食事内容について本人の意向を尊重し、詮索しない
- スタッフや精神保健福祉士が定期的に面談し、ストレスの状態を確認する
- 通院日を優先したスケジュールを組む
一人ひとりの特性やその日の体調に合わせて作業内容を選べる事業所を選ぶことが、無理なく続けるためのポイントです。
摂食障害の方の1日のスケジュール例
実際の1日の流れは事業所によって異なりますが、一例は次のとおりです。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 9:30 | 通所・体調確認 |
| 10:00 | 軽作業(内職・データ入力など) |
| 12:00 | 昼食・休憩(無理のない範囲で) |
| 13:00 | 午後の作業 |
| 15:00 | ミーティング・振り返り |
| 15:30 | 退所 |
体調が優れない日は作業時間を短縮したり、休憩を多めに取ったりと柔軟に対応してもらえるかを見学時に確認しておくと安心です。
利用までの流れ・必要書類
就労継続支援B型を利用するまでの主な流れは次のとおりです。
- 事業所に問い合わせ・見学
- 体験利用(数日〜数週間)
- 主治医の診断書・意見書の準備
- 市区町村の窓口で障害福祉サービス受給者証を申請
- 事業所と利用契約を結び、利用開始
受給者証の申請から交付までにかかる期間は自治体によって異なるため、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。障害者手帳をお持ちの方は、あわせて以下の記事も参考にしてください。精神障害者保健福祉手帳とは
摂食障害の方が利用する際のデメリット・注意点
就労継続支援B型には配慮がある一方で、知っておきたい注意点もあります。
- 雇用契約を結ばないため、工賃は最低賃金の対象外であること
- 事業所によって摂食障害への理解や配慮の程度に差があること
- 一般就労を目指す場合は、就労移行支援など別のサービスへの移行を検討する必要があること
工賃は事業所や作業内容によって差があり、詳しい相場は各事業所への確認をおすすめします。無理に高い工賃を目指すよりも、まずは通所を続けられるペースを見つけることが回復への近道になる場合もあります。
よくある質問
Q. 摂食障害の診断が確定していなくても利用できますか?
A. 診断名が確定していなくても、主治医の意見書などで支援の必要性が確認できれば利用につながる場合があります。まずはお住まいの自治体の窓口や事業所に相談してみましょう。
Q. 体調が悪い日は休んでも大丈夫ですか?
A. 多くの事業所では体調に合わせた通所日数の調整を行っています。無理をして通い続けるよりも、事前に相談しながら自分のペースを保つことが大切です。
Q. 食事に関して特別な配慮はしてもらえますか?
A. 昼食の有無や休憩時間の取り方など、本人の意向を尊重した対応をしている事業所が多くあります。気になる点は見学や体験利用の際に具体的に確認しておくと安心です。
Q. 工賃はどのくらいもらえますか?
A. 工賃は事業所や作業内容によって差があり、正確な金額は各事業所への確認が必要です。工賃だけでなく、通所を継続できる環境かどうかも合わせて検討することをおすすめします。
Q. 家族はどのようにサポートすればよいですか?
A. 本人の食事や体重について指摘しすぎず、通院や通所を見守る姿勢が助けになることがあります。家族自身が悩みを抱え込まず、精神保健福祉士など専門職に相談することも大切です。
NPO法人琉仁福祉会のサポート
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市で就労継続支援B型事業所を運営しています。精神保健福祉士として、摂食障害をはじめとする精神疾患のある方お一人おひとりの体調やペースに合わせた支援を行っています。見学・体験利用も随時受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
摂食障害があっても、就労継続支援B型は体調の波に合わせて利用できる福祉サービスです。事業所によって配慮の内容には差があるため、見学や体験利用を通して自分に合った環境かどうかを確かめることが大切です。一人で悩まず、まずは主治医や自治体の窓口、事業所に相談することから始めてみましょう。

