「就労継続支援B型って、精神障害や発達障害の人も通っているの?」「知的障害の人向けのイメージがあるけど、自分が行っても浮かない?」。見学の問い合わせで、いちばん多く聞かれる質問のひとつです。
結論から言うと、B型の利用者のうち精神障害のある方は約4割で、知的障害の方と並ぶ最大のグループです。発達障害の方も(手帳の種別としては精神または知的に含まれるため)この中に多く含まれています。
この記事では、精神保健福祉士として現場にいる立場から、利用者の内訳の実際、精神・発達障害の方がB型を選ぶときに見るべきポイント、向いている人・向いていない人、よくあるつまずきと対処法までをまとめました。
就労継続支援B型の利用者の内訳(障害種別)
厚生労働省の「令和6年度障害福祉サービス等経営実態調査」(令和7年3月時点)では、B型事業所1か所あたりの実利用者は平均22.4人で、内訳は次のとおりです。
| 障害種別 | 1事業所あたり平均 | 割合(目安) |
|---|---|---|
| 知的障害 | 11.0人 | 約49% |
| 精神障害 | 9.3人 | 約42% |
| 身体障害 | 2.0人 | 約9% |
| 難病等 | 0.1人 | 約0.4% |
※ 発達障害は調査上の独立した区分がなく、精神障害者保健福祉手帳または療育手帳の区分で集計されるため、上の「精神」「知的」の両方に含まれています。
ポイントは「事業所によって偏りが大きい」ことです。平均では知的と精神がほぼ半々ですが、実際には「知的障害の方が中心の事業所」と「精神・発達障害の方が中心の事業所」にはっきり分かれる傾向があります。自分に合う事業所を選ぶには、全国平均より「その事業所の内訳」を聞くのが近道です。
精神障害・発達障害の方がB型を利用できる条件
B型の利用に、障害種別の制限はありません。精神障害(うつ病、統合失調症、双極性障害、不安障害など)や発達障害(ASD、ADHD、LDなど)の方も、次のいずれかに当てはまれば対象になります。
- 一般企業での就労経験があり、年齢や体力面で一般就労が難しくなった方
- 就労移行支援を利用したが、一般就労に結びつかなかった方
- 上記以外で、50歳以上または障害基礎年金1級を受給している方
- 市区町村の判断で、B型の利用が適当と認められた方(就労アセスメントを経て)
障害者手帳がなくても、医師の診断書や意見書があれば利用できる自治体が多いです。「手帳を取るか迷っている」段階でも、まず市区町村の障害福祉窓口か相談支援事業所に聞いてみてください。
詳しい申請手順は「うつ病でも就労継続支援B型は使える?利用条件・1日の流れ・工賃の目安を解説」にまとめています。
精神・発達障害の方がB型を選ぶときに見る5つのポイント
見学のとき、パンフレットには書いていないけれど確かめてほしいことを挙げます。
1. 利用者の内訳と年齢層
「精神・発達障害の方はどのくらいいますか」「年齢層は?」と率直に聞いて大丈夫です。答えに詰まる事業所より、具体的に答えてくれる事業所のほうが、受け入れ経験が豊富なことが多いです。
2. 作業の種類と「選べるかどうか」
発達障害の方は、作業の向き不向きがはっきり出やすい傾向があります。単純反復が得意な方、人と関わる軽作業が合う方、PC作業が向く方、それぞれです。作業が1種類しかない事業所より、複数の作業から本人に合うものを選べる事業所のほうが続きやすくなります。
3. 通所日数・時間の柔軟さ
精神障害の方は、体調に波があるのが普通です。「週1日・午前だけ」から始めて少しずつ増やせるか、体調不良で休んだときに責められないか、は長く続けるうえで大切な条件です。
4. 職員に精神保健福祉士など専門職がいるか
精神障害・発達障害の支援には、症状の波への対応、服薬や通院との両立、感覚過敏への配慮など、専門的な知識があると助かる場面が多くあります。精神保健福祉士(PSW)や公認心理師、作業療法士などの有無を確認してみてください。
5. 環境面の配慮(音・光・人数)
発達障害の方で感覚過敏がある場合、作業室の騒音、照明、席の配置が通所の継続を左右します。見学時は「静かな席はありますか」「イヤーマフを使っても大丈夫ですか」など、具体的に聞いておくと安心です。
見学の前に、事業所のSNSを見ておく
5つのポイントは、見学に行かないと分からないことばかりです。ただ、行く前の段階でも、事業所がInstagramなどで日々の様子を発信していれば、作業風景や職員の雰囲気、利用者との距離感をある程度つかめます。パンフレットの文章より、写真や短い投稿のほうが「自分がここにいる姿」を想像しやすいものです。
たとえば、私たちが沖縄市で運営するLARGO沖縄では、Instagram(@keep_largo)で毎朝「今日のひとこと」や現場の様子を発信しています。沖縄で事業所を探している方は、見学の前にのぞいてみてください。
B型が向いている人・向いていない人
向いている人
- 体調の波があり、週5日のフルタイムはまだ難しい
- 一般就労でうまくいかず、まず「働くリズム」を取り戻したい
- 人との関わりに不安があり、少人数の環境から慣れていきたい
- 生活保護や障害年金を受けながら、少しずつ収入と自信を積み上げたい
向いていない(他の選択肢を先に検討したい)人
- 1〜2年以内に一般企業への就職を目指している → 就労移行支援のほうが支援内容が合います
- 雇用契約を結んで最低賃金で働きたい → 就労継続支援A型が候補になります
- 働く前に生活リズムや体力を整える段階 → 自立訓練(生活訓練)や地域活動支援センターが先になることがあります
B型は「ゴール」ではなく、生活を立て直し、次の段階へ進むための「通過点」としても使えます。実際に、B型からA型や一般就労へ移る方もいます。
精神・発達障害の方によくあるつまずきと対処法
通い始めて2〜3週間で疲れが出る
最初は緊張で頑張りすぎてしまい、反動で動けなくなるケースがとても多いです。初月は「予定の7割」で組むくらいがちょうどいい。事業所に「最初はゆっくり始めたい」と伝えておくと、無理のない計画を一緒に立ててくれます。
他の利用者との距離感に悩む
発達障害の方の場合、雑談の輪に入れないことや、逆に距離を詰めすぎてトラブルになることがあります。職員に「人間関係で困ったら相談したい」と最初に伝えておくだけで、早めに間に入ってもらえます。
工賃の低さにがっかりする
B型の平均工賃は月2万円前後(令和5年度の全国平均は23,053円)で、生活費を工賃だけでまかなうのは現実的ではありません。B型は「工賃を稼ぐ場」というより「働く力と生活リズムを取り戻す場」と考え、収入面は障害年金・生活保護・家族の支援と組み合わせて設計するのが一般的です。工賃と生活保護の関係は「生活保護とB型事業所は併用できる?工賃の収入認定・申請手順・注意点を解説」で詳しく解説しています。
調子が悪くなったときに連絡できない
体調が崩れると「連絡する」こと自体ができなくなるのが精神障害の特徴です。事前に「連絡がなく3日休んだら、事業所から連絡してほしい」と取り決めておく、クライシスプランを作って共有しておく、といった準備が有効です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 発達障害で手帳を持っていませんが利用できますか?
医師の診断書や意見書で利用できる自治体が多いです。まず市区町村の障害福祉窓口に相談してください。
Q2. 精神障害の人が多い事業所と、知的障害の人が多い事業所、どちらを選ぶべき?
正解はありません。ただ、精神・発達障害の方は「自分と似た状況の人がいる」と安心して通える傾向があるので、見学で雰囲気を確かめるのがいちばん確実です。
Q3. 通院日や体調不良で休んでも大丈夫?
大丈夫です。B型は雇用契約ではなく「訓練等給付」のサービスなので、欠勤でペナルティを受けることはありません。ただし利用計画上の目安日数はあるので、相談支援専門員と相談しながら調整します。
Q4. 発達障害とうつ病を併発しています。どちらで申請しますか?
主治医と相談のうえ、主たる障害で申請するのが一般的です。どちらで申請してもB型の利用自体は可能です。
まとめ
- B型利用者のうち精神障害の方は約4割、知的障害の方と並ぶ最大グループ。発達障害の方も多く含まれる
- 障害種別による利用制限はなく、手帳がなくても診断書で利用できる自治体が多い
- 事業所選びは「全国平均」より「その事業所の内訳・作業の選択肢・柔軟さ・専門職の有無・環境配慮」を見る
- 初月は7割のペースで。連絡できなくなる前提で取り決めをしておく
- 見学の前に事業所のSNS(Instagramなど)を見ておくと、雰囲気の見当がつく
「自分に合う事業所があるのか」は、見学して初めて分かることがほとんどです。気になる事業所があれば、まず1か所、見に行ってみてください。
お住まいの地域で相談できる窓口
就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。
- 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
- 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
- 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
- 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談
「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。
沖縄にお住まいの方へ
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。
Instagramで現場の様子を発信しています
LARGO沖縄のInstagram(@keep_largo)では、就労継続支援B型の作業風景や、利用者・職員の「今日のひとこと」、利用者募集の情報を毎日更新しています。記事では伝えきれない現場の空気を見てみてください。
