家族相談は、精神障害や発達障害のある方のご家族が、支援の第一歩を踏み出すうえで欠かせない大切な取り組みです。「どこに相談すればよいかわからない」「本人が支援を拒否していて、家族だけが追い詰められている」という声は、支援の現場で日々耳にします。
本記事では、精神保健福祉士として長年にわたり当事者家族の相談を受けてきた田中凪周(NPO法人琉仁福祉会理事長)が、家族相談の窓口・流れ・相談内容・家族自身のケアについて、わかりやすく解説します。
結論:早めの家族相談が当事者の回復を後押しする
精神障害や発達障害のある方の回復には、家族の安定したサポートが大きな力になります。しかし家族自身が疲弊していては、適切な関わりは難しくなります。まずご家族自身が専門機関に相談し、正確な情報と心のゆとりを得ることが、本人への支援の質を高めることにつながります。
「本人が行かないと意味がない」と思われる方も多いですが、ご家族からの家族相談をきっかけに状況が好転したケースは数多くあります。一人で抱え込まず、早めに動くことが重要です。
家族相談とは何か
家族相談とは、精神障害・発達障害・依存症などの当事者を持つご家族が、支援機関に対して悩みや困りごとを相談できる仕組みです。本人が来所しなくても利用できる点が特徴で、家族のみで相談の場を設けることができます。
相談内容は多岐にわたります。「受診に結びついていない」「家での言動が不安で対応に困っている」「家族自身が精神的に限界に近い」といった訴えにも、専門家が個別に対応します。医療的な診断や断定的なアドバイスを行うことはなく、必要な機関につなぐための支援を行います。
家族が利用できる主な相談窓口の種類
家族相談を受け付けている機関は複数あります。下の表を参考にしながら、状況に合った窓口に連絡してみてください。
| 機関名 | 主な特徴 | 費用 |
|---|---|---|
| 精神保健福祉センター | 都道府県・政令市が設置。家族向け電話相談・面談に対応 | 無料 |
| 市区町村の障害福祉窓口 | 障害福祉サービス申請窓口。地域の支援情報を案内 | 無料 |
| 相談支援事業所 | 計画相談支援・地域移行支援の専門機関。個別対応可 | 無料 |
| NPO・家族会 | 同じ立場の家族同士による支え合いの場 | 無料〜低額 |
| 就労継続支援事業所 | 見学・体験利用前の家族からの相談を受け付け | 無料 |
障害福祉サービスの詳細については、厚生労働省「障害福祉サービスについて」もあわせてご参照ください。
家族相談の流れと手順
初めて家族相談を利用する場合、次の流れで進めることが多いです。
- 窓口への電話または来所予約:まず電話で問い合わせ、面談日程を調整します。
- 相談員との初回面談:本人の状況、家族の困りごと、これまでの経緯などを共有します。
- 情報提供・支援機関の紹介:状況に応じて適切な機関やサービスを案内します。
- フォローアップ:継続相談・同行支援・関係機関との連携調整が行われます。
初回の面談は30分〜1時間程度が目安です。「何を話せばよいかわからない」という方でも、担当者が丁寧に聞き取りを行いますので安心してご利用いただけます。また、事前に話したい内容をメモしておくとスムーズです。
家族相談で話せる具体的な内容
家族相談では、以下のような内容を専門家に相談することができます。どんな小さな悩みでも遠慮なく話してください。
- 本人が受診・支援を拒否しており、どう関われるかわからない
- 家でのトラブルへの対応方法や声かけの仕方がわからない
- 障害年金や精神障害者保健福祉手帳の申請手続きについて知りたい
- 就労継続支援B型などの障害福祉サービスについて情報を得たい
- 家族自身のメンタルヘルスに不安を感じており、誰かに話を聞いてほしい
- グループホームへの移行を検討しているが何から始めればよいかわからない
- 受診や入院を繰り返しており、今後の生活設計について相談したい
- きょうだいや親など複数の家族メンバーが疲弊しており、家族全体で支援を受けたい
ご家族が抱えやすい負担とセルフケアの重要性
長期にわたる介護や支援は、ご家族自身の心身に大きな負担をかけます。「家族なんだから当たり前」「自分が頑張るしかない」と思い込み、相談をためらうご家族は少なくありません。
しかし、精神保健福祉士として申し上げると、ご家族の疲弊は本人への支援の質を下げることにもつながります。ご家族のケアも支援の重要な一部です。家族相談を通じて自助グループや家族会につながることも有効で、同じ立場の方と経験を共有することで孤立感が和らぎ、具体的な対処法も学べます。
また、自立支援医療や受給者証など、経済的負担を軽減できる制度も積極的に活用しましょう。お金の不安が減ることで、精神的なゆとりが生まれます。
家族相談後につながる主な支援サービス
家族相談をきっかけに、以下のような支援サービスにつながることができます。本人の状況や希望に応じて、担当者と一緒に検討しましょう。
- 計画相談支援:障害福祉サービスの利用計画を相談支援専門員が作成します。サービス利用の入口として欠かせません。
- 就労継続支援B型:軽作業や創作活動を通じて、生活リズムを整える場として活用できます。利用前に家族相談や事業所見学が可能です。就労継続支援B型と就労移行支援の違いも合わせてご確認ください。
- 居宅介護・短期入所:在宅での生活を支えるサービスです。ご家族の負担軽減にも役立ちます。
- ピアサポート:同じ経験を持つ当事者が支え合う取り組みです。本人が仲間とつながることで回復への意欲が高まります。
- グループホーム:一人暮らしへの移行を見据えた共同生活援助の場として検討できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 本人が来なくても家族だけで家族相談できますか?
A. はい、家族相談はご家族のみで利用できます。本人の同意がなくても相談を受け付けている機関がほとんどです。精神保健福祉センターや相談支援事業所では、家族のみの相談を定期的に実施しています。
Q2. 費用はかかりますか?
A. 精神保健福祉センターや市区町村の窓口など公的機関では無料で相談できます。NPOや民間機関でも無料〜低額の場合が多いです。
Q3. 家族が相談すると、本人にも連絡がいきますか?
A. 相談内容は原則として本人に無断で伝えることはありません。ただし、生命の危険など緊急性が高い場合は例外もあります。初回面談時に担当者へ確認しておくと安心です。
Q4. 相談支援専門員に相談するのと何が違いますか?
A. 相談支援専門員は障害者総合支援法に基づく専門職で、主にサービス等利用計画の作成を担います。家族相談はより幅広い悩みに対応し、受け付ける窓口も多岐にわたります。まず家族相談として話を聞いてもらい、必要に応じて相談支援専門員につなぐ流れが一般的です。
Q5. 相談したら必ず福祉サービスを利用しなければなりませんか?
A. いいえ、相談したからといってサービス利用を強制されることはありません。情報収集だけを目的とした相談も大歓迎です。判断はご家族と本人のペースで進めることができます。
NPO法人琉仁福祉会への家族相談のご案内
NPO法人琉仁福祉会は、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型を運営しています。「うちの家族がB型事業所を利用できるかどうか不安」「まず話だけ聞いてほしい」という段階からの家族相談も随時お受けしています。
精神保健福祉士(理事長・田中凪周)による個別相談・事業所見学・体験利用のご案内も対応可能です。押しつけた提案は一切行いません。ご家族の不安や疑問を丁寧にお聞きしながら、最適な選択を一緒に考えます。
沖縄・埼玉どちらの拠点でも対応可能です。お電話またはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
まとめ
家族相談は、精神障害や発達障害のある方のご家族が支援につながるための重要な入口です。本人が動けない状況でも、ご家族からの相談が回復の糸口になることがあります。
相談窓口は精神保健福祉センター・市区町村窓口・相談支援事業所・NPO・家族会など複数あります。早めに家族相談をすることで、ご家族の負担が減り、本人への支援もより良いものになります。
NPO法人琉仁福祉会でも、精神保健福祉士が家族相談に丁寧に対応しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
お住まいの地域で相談できる窓口
就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。
- 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
- 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
- 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
- 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談
「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。
沖縄・埼玉にお住まいの方へ
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県川口市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。

