金銭管理が難しい方へ|精神障害のある方を支える3つの支援制度を精神保健福祉士が解説

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金銭管理が難しいと感じている精神障害のある方は少なくありません。「気づくと通帳の残高がない」「衝動的に浪費してしまう」——精神保健福祉士として、そうした声を現場で数多く伺ってきました。金銭管理は生活の土台であり、うまくいかないと通院や食事、住まいの安定にも影響します。本記事では、金銭管理が難しくなる理由と、それを支える3つの支援制度についてわかりやすく解説します。

この記事で分かること

  • 金銭管理が苦手になりやすい理由
  • 日常生活自立支援事業・成年後見制度など支援制度の違い
  • 相談窓口と利用までの流れ

結論からお伝えすると、金銭管理に不安がある場合は一人で抱え込まず、お住まいの社会福祉協議会や相談支援専門員にまず相談することが第一歩です。制度によって支援の範囲や対象者が異なるため、状況に合った窓口を選ぶことが大切です。

金銭管理とは何か・なぜ難しくなるのか

金銭管理とは、収入と支出を把握し、必要な支払いを計画的に行う力を指します。精神障害や発達障害のある方の場合、症状の波や特性によって計画性や衝動のコントロールが難しくなり、結果として浪費や支払い忘れにつながることがあります。統合失調症の陽性症状や躁状態では衝動買いが増える傾向があり、うつ状態では請求書の確認や振込作業自体が負担になることもあります。

金銭管理が苦手になる主な理由

金銭管理の難しさには、いくつかの要因が重なっていることが多く見られます。

  • 症状の波によって判断力や集中力が変動する
  • 衝動性から計画的な支出が難しくなる(ADHD特性など)
  • 数字の管理や見通しを立てることが苦手(発達特性など)
  • 家計簿や通帳の管理習慣がそもそも身についていない

こうした背景を理解せずに「だらしない」と評価してしまうと、本人の自己肯定感を下げてしまいます。金銭管理の困りごとは特性や症状によるものであり、適切な支援があれば安定させることができます。

金銭管理を支える3つの支援制度

金銭管理に不安がある場合に活用できる主な制度は、次の3つです。

制度 対象者 支援内容
日常生活自立支援事業 判断能力が不十分だが契約内容は理解できる方 通帳・印鑑の預かり、日常的な金銭管理の手伝い
成年後見制度(補助・保佐・後見) 判断能力の程度に応じて家庭裁判所が選任 財産管理や契約行為を後見人等が代行・支援
相談支援専門員によるサポート 障害福祉サービスを利用している方 金銭管理を含む生活全般の相談・関係機関との調整

費用は制度や自治体、後見人の種類によって異なります。正確な金額は、お住まいの自治体の窓口や家庭裁判所でご確認ください。

日常生活自立支援事業での金銭管理支援

日常生活自立支援事業は、お住まいの社会福祉協議会が窓口となり、生活支援員が定期的に訪問して通帳の出し入れや公共料金の支払いを一緒に確認する仕組みです。契約に基づくサービスのため、本人が契約内容を理解し、同意できることが前提になります。厚生労働省の障害福祉サービスの案内でも、こうした地域生活を支える仕組みが紹介されています。

成年後見制度での金銭管理支援

判断能力の低下がより大きい場合は、成年後見制度の利用が検討されます。家庭裁判所が選任した後見人等が、本人に代わって財産管理や契約行為を行う制度で、「後見」「保佐」「補助」の3類型があり、本人の判断能力の程度に応じて選ばれます。申立ては本人・家族のほか、市区町村長が行うこともできます。

金銭管理支援の相談窓口と利用の流れ

金銭管理に不安を感じたら、次のような窓口に相談できます。

  1. お住まいの社会福祉協議会に相談する
  2. 利用中の事業所の相談支援専門員や生活支援員に相談する
  3. 制度の説明を受け、契約内容を確認する
  4. 支援内容や頻度を決めて利用を開始する

すでに就労継続支援B型を利用している方であれば、事業所のスタッフから地域の相談窓口を紹介してもらえることも多くあります。工賃の管理方法についても、事業所と相談しながら少しずつ習慣化していくとよいでしょう。

金銭管理を無理なく続けるための工夫

制度の利用とあわせて、日々の暮らしの中でできる工夫を取り入れることも金銭管理の安定につながります。

  • 使う口座を「生活費用」「貯蓄用」に分けて、通帳やキャッシュカードを目的ごとに管理する
  • クレジットカードは使わず、その場で残高が減る仕組みにする
  • 家計簿アプリや紙の家計簿で、月ごとの支出をざっくり振り返る
  • 大きな買い物をする前は、支援者に一度相談してから決める

すべてを一度に完璧にこなす必要はありません。できることから少しずつ取り入れ、うまくいかないときは責めずに支援者へ相談することが、無理のない金銭管理につながります。

金銭管理と合わせて見直したい医療費の管理

金銭管理の負担を減らすには、支出そのものを見直すことも有効です。通院を続けている方であれば、自立支援医療(精神通院)を活用することで医療費の自己負担を軽減できる場合があります。制度の対象になるかどうかは、主治医や自治体窓口にご確認ください。

よくある質問

Q. 金銭管理が苦手なのは本人の性格の問題ですか?

A. 性格だけの問題とは限りません。症状の波や特性による判断力・衝動性の変化が影響していることが多く見られます。気になる場合は主治医や精神保健福祉士に相談してみましょう。

Q. 日常生活自立支援事業の利用に費用はかかりますか?

A. 一定の利用料がかかる場合がありますが、金額は自治体によって異なります。詳しくはお住まいの社会福祉協議会にご確認ください。

Q. 家族が本人の通帳を管理してもいいのでしょうか?

A. 本人の同意なく通帳を管理し続けることはトラブルの原因になり得ます。家族だけで抱え込まず、社会福祉協議会や相談支援専門員など第三者を交えた支援につなげることをおすすめします。

Q. 日常生活自立支援事業と成年後見制度はどちらを選べばよいですか?

A. 契約内容を理解できるかどうかが大きな判断基準になります。判断が難しい場合は、まず相談窓口で本人の状況を伝え、どちらが適しているか一緒に検討してもらうと安心です。

NPO法人琉仁福祉会からのご案内

NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型事業所を運営しています。工賃の受け取り方や日々の金銭管理についても、精神保健福祉士や生活支援員が一人ひとりの状況に合わせて相談に応じています。金銭管理に不安がある方、B型事業所の利用を検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

金銭管理の難しさは、本人の努力不足ではなく症状や特性が影響していることが少なくありません。日常生活自立支援事業や成年後見制度、相談支援専門員によるサポートなど、状況に応じて活用できる制度は複数あります。まずはお住まいの社会福祉協議会や利用中の事業所に相談し、無理のない形で金銭管理を支える体制を整えていきましょう。