日中一時支援とは|障害のある方の利用条件・申請手順・費用を精神保健福祉士が解説

日中一時支援は、障害のある方を日中の時間帯に一時的に預かり、家族の介護負担を軽減する福祉サービスです。精神保健福祉士として多くの当事者とご家族を支援してきた経験から、この制度の内容・利用条件・申請手順を詳しく解説します。

「家族の介護が大変で自分の時間がとれない」「本人が安心して過ごせる日中の居場所を探している」というお悩みをお持ちの方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。

まず結論:日中一時支援でできること

日中一時支援を利用することで、次の3つが実現できます。

  • 障害のある方が日中の活動の場・居場所を得られる
  • 介護している家族が「レスパイト(休息)」の時間を確保できる
  • 社会参加のきっかけになる

精神保健福祉士として現場で感じるのは、「制度を知らないがゆえに使えていない」ご家族がとても多いということです。この記事で制度の全体像を把握し、まずは市区町村窓口への一歩を踏み出してください。

日中一時支援とは:定義と目的

日中一時支援(にっちゅういちじしえん)は、障害者総合支援法に基づく「地域生活支援事業」の一つです。障害のある方を日中の時間帯に一時的に受け入れ、日常的な活動の機会を提供するとともに、家族の介護負担を軽減することを目的としています。

「ショートステイ」(短期入所)が宿泊を伴うのに対し、日中一時支援は宿泊なしの日帰り型です。市区町村が実施主体となるため、内容・費用・利用条件が自治体ごとに異なる点が特徴です。

サービス 宿泊 主な対象 根拠
日中一時支援 なし(日帰り) 障害のある方全般 地域生活支援事業
短期入所(ショートステイ) あり 障害のある方全般 障害福祉サービス
精神科デイケア なし 精神障害のある方 診療報酬
就労継続支援B型 なし 障害のある方(18歳以上) 障害福祉サービス

日中一時支援の対象者

日中一時支援を利用できるのは、以下の障害のある方です。

  • 身体障害のある方
  • 知的障害のある方
  • 精神障害のある方(統合失調症・双極性障害・うつ病・発達障害など)
  • 難病などにより障害がある方(自治体によって異なる)
  • 障害のある18歳未満の児童

重要なのは、精神障害をお持ちの方も対象となる点です。「精神障害では使えない」と誤解されることがありますが、多くの市区町村でしっかり対象に含まれています。

詳細な条件は各市区町村が定めるため、お住まいの自治体の障害福祉担当窓口に確認することをお勧めします。制度の詳細は厚生労働省「障害福祉サービスの内容」でもご確認いただけます。

日中一時支援で受けられるサービス内容

日中一時支援の主なサービス内容は以下のとおりです。事業所によって提供内容は異なります。

  • 創作活動・軽作業などの日中活動の提供
  • 入浴支援・排泄支援
  • 食事の提供
  • 相談・見守り
  • 送迎サービス(事業所により有無が異なる)

就労継続支援B型のように工賃は発生しませんが、日中の安心できる居場所として大切な役割を果たします。本人のペースで活動できる環境が整っている事業所を選ぶことが大切です。

日中一時支援の費用と自己負担

日中一時支援は地域生活支援事業に該当するため、利用者負担は原則として利用料の1割です。ただし、所得に応じた月額上限が設定されています。

世帯区分 月額上限の目安
生活保護世帯 0円
低所得(市町村民税非課税世帯) 0円
一般1(市町村民税課税・所得割16万円未満) 9,300円
一般2(上記以外) 37,200円

※上記は障害福祉サービスの負担上限に準じた目安です。日中一時支援は地域生活支援事業のため、実際の自己負担額は市区町村によって異なります。事前に窓口でご確認ください。

申請の流れ:日中一時支援を利用するまでの手順

日中一時支援の申請は、市区町村の障害福祉担当窓口で行います。大まかな流れを以下に示します。

  1. 市区町村の障害福祉窓口に相談する
  2. 利用申請書と必要書類(診断書など)を提出する
  3. 審査・認定を受ける
  4. 利用できる日数・内容が決定する
  5. 利用したい事業所を探して見学・体験をする
  6. 事業所と契約し、利用開始

計画相談支援を利用している場合は、相談支援専門員に手伝ってもらうとスムーズです。まだ相談支援専門員がついていない方は、市区町村窓口にてサービス等利用計画の作成を依頼することから始めましょう。

なお、申請時には受給者証の手続きも必要です。障害福祉サービスの受給者証とは別に手続きが必要なケースもあるため、市区町村ごとに事前に確認しておきましょう。

日中一時支援とB型事業所の違い

よく混同されるのが就労継続支援B型(B型事業所)です。日中一時支援とB型事業所の主な違いを整理します。

比較項目 日中一時支援 就労継続支援B型
主な目的 日中の居場所・家族の介護負担軽減 就労に向けた訓練・工賃の支払い
工賃 なし あり(月平均1万数千円)
根拠 地域生活支援事業 障害者総合支援法・障害福祉サービス
対象年齢 制限なし(自治体による) 原則18歳以上
受給者証 市区町村で別途手続き 障害福祉サービス受給者証

B型事業所では工賃を得ながら就労に向けた訓練ができます。一方、日中一時支援は「日中の過ごせる場所・家族の休息確保」を目的とする点が大きく異なります。

両サービスを組み合わせて利用することも可能な場合があります。たとえば、B型事業所が休みの日や通所していない日に日中一時支援を活用するといった使い方が考えられます。就労継続支援B型とは何かについては、こちらの記事も参考にしてください。

精神保健福祉士として現場で感じること

精神保健福祉士として支援の現場で感じるのは、「日中一時支援を知らないまま家族だけで抱え込んでいるケースが非常に多い」ということです。

介護する家族が疲弊してしまうと、本人の生活も一気に不安定になります。家族が休める時間を確保することは、本人のためにもなります。

「こんなサービスを使っていいのか」と遠慮せず、まずは一度、市区町村の窓口や家族相談の窓口に足を運んでみてください。利用を検討する段階での相談は無料です。

また、精神障害のある方が日中一時支援と体験利用を組み合わせることで、段階的に社会参加のステップを踏むことも可能です。「いきなりB型事業所に通うのは不安」という方にも、日中一時支援は選択肢の一つになります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 日中一時支援を使うには受給者証が必要ですか?

はい、市区町村が発行する受給者証が必要です。ただし、障害福祉サービスの受給者証とは別の手続きになる場合があります。詳しくは受給者証の申請方法をご覧ください。

Q2. 精神障害者保健福祉手帳がなくても使えますか?

手帳がなくても、医師の診断書などで障害が確認できれば利用できる場合があります。まず市区町村窓口にご相談ください。精神障害者保健福祉手帳の詳細はこちらもご参照ください。また、精神障害のある方の医療費を助成する自立支援医療(精神通院)もあわせてご活用ください。

Q3. 1日に何時間利用できますか?

利用時間は市区町村や事業所によって異なりますが、日中(おおむね午前〜夕方)の時間帯が対象です。詳細は事業所の見学時に確認するとよいでしょう。

Q4. 送迎はありますか?

事業所によって送迎の有無が異なります。事業所見学の際に必ず確認してください。

Q5. B型事業所と同時に利用できますか?

可能な場合があります。それぞれ別の受給者証が必要なケースもあるため、相談支援専門員に確認することをお勧めします。

Q6. 沖縄市や埼玉でも日中一時支援は使えますか?

はい、沖縄市でも埼玉でも市区町村の地域生活支援事業として実施されています。詳細はお住まいの市区町村窓口へお問い合わせください。

琉仁福祉会の就労継続支援B型事業所のご案内

NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型事業所を運営しています。

「外出できる場所を探している」「働きたいけれど一歩踏み出せない」という方は、まずは見学・相談にお越しください。日中一時支援との組み合わせについても、精神保健福祉士がていねいにご説明します。

  • 沖縄事業所:沖縄県沖縄市比屋根(2025年1月開所)
  • 埼玉事業所:埼玉県内(詳細はお問い合わせください)

見学・体験利用のご予約は、お電話またはウェブからお気軽にどうぞ。

まとめ:日中一時支援で家族も本人も安心できる生活を

日中一時支援は、障害のある方が日中を安全に過ごし、家族の介護負担を軽減できる大切な福祉サービスです。精神障害をお持ちの方も対象となることが多く、B型事業所や他の福祉サービスと組み合わせて活用できます。

まず市区町村の障害福祉担当窓口に相談することからスタートしましょう。申請に迷ったときは、相談支援専門員にサポートを依頼するのが近道です。

琉仁福祉会では、就労継続支援B型の見学・相談を随時受け付けています。日中一時支援との違いや組み合わせについても気軽にご相談ください。日中の居場所づくりの第一歩として、ぜひお声がけいただければと思います。

お住まいの地域で相談できる窓口

就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。

  • 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
  • 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
  • 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
  • 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談

「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。

沖縄・埼玉にお住まいの方へ

NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県川口市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。