障害者控除とは|所得税を軽くする3つの区分と申告方法を精神保健福祉士が解説

障害者控除は、精神障害や身体障害、知的障害のある方やその扶養家族が使える所得控除の制度です。精神保健福祉士として、B型事業所を利用する方やご家族から「税金の負担を減らす方法はありますか」というご相談を数多くいただきます。障害者控除の仕組みを知っておくことで、年末調整や確定申告の際に迷わず手続きができます。

この記事で分かること

  • 障害者控除の対象となる3つの区分と控除額
  • 確定申告・年末調整での申告方法と必要書類
  • 特別障害者控除や医療費控除との違い・使い分け

結論からお伝えすると、障害者控除は精神障害者保健福祉手帳や療育手帳、身体障害者手帳をお持ちの方、またはその方を扶養しているご家族が、年末調整や確定申告で申告することで所得税・住民税の負担を軽くできる制度です。控除額は手帳の等級によって区分が分かれ、申告し忘れると受けられないため、まずご自身が対象になるかどうかを確認しましょう。

障害者控除とは何ですか?

障害者控除とは、納税者本人か、その納税者に扶養されている家族に障害がある場合、一定の金額を所得から差し引ける所得控除です。会社員であれば年末調整で、自営業や年金受給者であれば確定申告で申告します。

対象になるのは、精神障害者保健福祉手帳・療育手帳・身体障害者手帳のいずれかをお持ちの方です。手帳を取得していなくても、市区町村から「障害者に準ずる者」と認定を受けている場合は対象になることがあります。

同じく精神障害のある方が活用できる制度に、自立支援医療(精神通院)があります。通院医療費の自己負担を軽くしたい方は、自立支援医療(精神通院)とはの記事もあわせてご覧ください。

障害者控除の対象となる条件は?

障害者控除の対象区分は、手帳の種類と等級によって次の3つに分かれます。

  1. 障害者:精神障害者保健福祉手帳2級・3級、身体障害者手帳3級〜6級、療育手帳(軽度〜中度)など
  2. 特別障害者:精神障害者保健福祉手帳1級、身体障害者手帳1級・2級、療育手帳(重度)など
  3. 同居特別障害者:特別障害者に該当し、かつ納税者本人や配偶者、生計を一にする親族と同居している方

精神障害者保健福祉手帳の等級については、精神障害者保健福祉手帳とはの記事で申請方法とあわせて詳しく解説しています。ご自身やご家族がどの区分に当てはまるか分からない場合は、お住まいの市区町村の福祉窓口で確認できます。

障害者控除と特別障害者控除の違いは?

障害者控除・特別障害者控除・同居特別障害者控除は、区分が上がるほど控除額が大きくなる仕組みです。所得税と住民税で控除額が異なる点にも注意してください。

区分 主な対象 所得税の控除額 住民税の控除額
障害者控除 手帳の等級が比較的軽度の方 27万円 26万円
特別障害者控除 精神障害者保健福祉手帳1級など 40万円 30万円
同居特別障害者控除 特別障害者と同居している場合 75万円 53万円

控除額は国税庁が公表している基準にもとづきます。詳細な要件は国税庁の障害者控除の解説ページで確認できます。住民税の運用は自治体によって異なる場合があるため、正確な金額はお住まいの市区町村の税務担当窓口にご確認ください。

障害者控除の申告方法は?

申告方法は働き方によって異なります。

  1. 会社員の方:年末調整の際に勤務先へ提出する「給与所得者の扶養控除等申告書」の該当欄に、本人または扶養親族の障害の区分を記入します。
  2. 自営業・フリーランスの方:確定申告書の「障害者控除」欄に金額を記入し、必要に応じて手帳の写しを添付します。
  3. 年金受給者の方:公的年金等の確定申告不要制度を利用していない場合は、確定申告書に記載します。

扶養している家族の分を申告する場合は、家族の中で誰か一人が代表して申告します。重複して申告することはできません。

障害者控除に必要な書類は?

主に次の書類を準備しておくとスムーズです。

  • 精神障害者保健福祉手帳・療育手帳・身体障害者手帳のいずれか(コピー可の場合あり)
  • 年末調整の場合は「給与所得者の扶養控除等申告書」
  • 確定申告の場合は確定申告書、マイナンバーが分かる書類

手帳の有効期限が切れていないかも、申告前にあわせて確認しておきましょう。

障害者控除はいつまでに申告すればいいですか?

年末調整は例年11月頃に勤務先へ書類を提出する流れが一般的です。確定申告は原則として翌年の2月16日から3月15日までの期間に行います。

申告を忘れてしまった場合でも、還付申告は原則として5年前までさかのぼって行うことができます。過去の年分で申告し忘れた方も、お近くの税務署に相談してみてください。

よくある質問

Q. 障害者控除は精神障害者保健福祉手帳がないと使えませんか?

A. 手帳をお持ちでない場合でも、医師の診断書などにもとづき市区町村から「障害者に準ずる者」と認定されるケースがあります。対象になるかどうかは、お住まいの市区町村の福祉窓口や税務署にご確認ください。

Q. 障害者控除と特別障害者控除はどちらを選べばいいですか?

A. ご自身で選ぶものではなく、手帳の等級によって区分が決まります。精神障害者保健福祉手帳1級の方は特別障害者に該当し、控除額が大きくなります。

Q. 障害者控除の申告を忘れてしまった場合はどうすればいいですか?

A. 会社員の方は年末調整のやり直しを勤務先に相談できる場合があります。確定申告であれば過去5年分までさかのぼって還付申告ができるため、諦めずに税務署へご相談ください。

Q. 扶養している家族が障害者控除を使う場合、本人の申告と両方使えますか?

A. 障害者控除は、本人か扶養している家族のどちらか一方が申告するものです。重複して適用することはできないため、世帯内であらかじめどちらが申告するか話し合っておくと安心です。

Q. 障害者控除は就労継続支援B型で得た工賃にも関係しますか?

A. 工賃そのものが直接控除されるわけではありませんが、B型事業所を利用しながら得た収入がある場合でも、障害者控除の対象区分自体は変わりません。他の所得とあわせて確定申告書に記載します。

琉仁福祉会からのご案内

NPO法人琉仁福祉会は、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型事業所を運営しています。日々の面談では、工賃や生活費だけでなく、税金や制度活用に関するご相談も多くいただきます。

事業所の利用を検討されている方は、就労継続支援B型とはの記事もあわせてご覧ください。制度の使い方に迷ったときは、お一人で抱え込まず、まずはお近くの事業所や市区町村の窓口にご相談ください。

まとめ

障害者控除は、精神障害・身体障害・知的障害のある方やその扶養家族が申告できる所得控除です。手帳の等級によって「障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」の3区分に分かれ、控除額が異なります。年末調整や確定申告で申告を忘れると適用されないため、まずはご自身やご家族が対象になるかを確認し、必要書類を揃えて早めに手続きしましょう。判断に迷う点があれば、精神保健福祉士や税務署の窓口に相談しながら進めることをおすすめします。

お住まいの地域で相談できる窓口

就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。

  • 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
  • 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
  • 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
  • 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談

「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。

沖縄・埼玉にお住まいの方へ

NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県川口市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。