ヤングケアラーとは、本来は大人が担うはずの家事や家族の世話を、日常的に行っている子ども・若者のことです。「うちの子はしっかりしているだけ」と感じていても、精神疾患のある家族と暮らすご家庭では、気づかないうちにお子さんが大きな負担を抱えているケースが少なくありません。
この記事で分かること
- ヤングケアラーの定義と、見過ごされやすいサイン
- 精神疾患のある親を持つ子どもが直面しやすい負担と影響
- 家族全体を支える相談窓口と福祉サービスの活用法
結論から言うと、ヤングケアラーの負担を減らす鍵は「家族だけで抱え込まない」ことです。学校のスクールソーシャルワーカーや市区町村の相談窓口、そして精神疾患のある親自身が利用できる障害福祉サービスを組み合わせることで、子どもの生活と成長を守る道が開けます。精神保健福祉士として、家族全体を支える視点から解説します。
ヤングケアラーとは何か(定義と特徴)
ヤングケアラーとは、家族に代わって家事、幼いきょうだいの世話、精神疾患や身体疾患のある家族の介護・見守り、通院の付き添いなどを日常的に担う18歳未満の子どもや、大学生年代の若者を指す言葉です。子ども・若者育成支援推進法では、家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者を、国や地方公共団体が支援に努めるべき対象として位置づけています。
ヤングケアラーは「お手伝いをする良い子」として大人から見過ごされやすく、本人も自分がヤングケアラーだと自覚していない場合が多いのが特徴です。詳しい定義や取り組みは、こども家庭庁のヤングケアラー特設ページで紹介されています。
ヤングケアラーに見られやすいサインとは
子ども本人が「つらい」と言葉にすることは多くありません。周囲の大人が気づけるサインを知っておくことが大切です。
- 遅刻や欠席が増え、学業に集中できていない
- 持ち物や身なりが整わず、忘れ物が多い
- 部活動や友人との時間を極端に避けるようになった
- 家庭の事情を聞かれると話をそらす、あるいは早口で説明する
- 年齢の割に家事や介護の知識が豊富で、大人びた発言をする
これらのサインが一つあるだけでヤングケアラーと断定できるわけではありませんが、複数が重なる場合は、家庭内で大きな役割を担っている可能性を疑う視点が役立ちます。
精神疾患のある親を持つ子どもが直面しやすい課題
精神疾患は症状の波があるため、子どもは親の状態に応じて家事や感情面のサポートを求められがちです。具体的には、次のような負担が重なりやすいと考えられます。
- 親の体調が不安定なときの家事・きょうだいの世話
- 通院や服薬管理の付き添い、声かけ
- 親の気分の落ち込みを受け止める、話し相手になる
- 「家のことを他人に話してはいけない」という孤立感
こうした負担が長く続くと、子ども自身の進学や友人関係、将来設計にも影響しかねません。家族介護という言葉で一括りにせず、精神疾患特有の目に見えにくい負担があることを、周囲が理解しておく必要があります。
ヤングケアラーはどこに相談すればいい?
「相談する」ことに抵抗を感じるご家庭も多いですが、早めに複数の窓口とつながっておくことが、子どもと家族全体を守ることにつながります。
- 学校のスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー
- 市区町村のヤングケアラー相談窓口、こども家庭センター
- 精神保健福祉センターや保健所
- 親自身が受診している医療機関の相談員
- NPO法人など地域の福祉相談機関
精神疾患のある親自身の治療や生活を安定させることも、子どもの負担を軽くする有効な手段です。通院医療費の負担を軽くする自立支援医療(精神通院)とはの記事もあわせてご覧ください。
家族全体を支える障害福祉サービスの活用法
ヤングケアラー支援というと子どもへの直接支援に目が向きがちですが、親自身が福祉サービスを利用し生活基盤を整えることも、子どもの負担軽減に直結します。例えば、精神疾患のある親が就労継続支援B型を利用し、無理のないペースで通所と工賃収入を得られるようになれば、家庭内の家事・経済面の負担が親側に戻り、子どもが子どもらしい時間を取り戻しやすくなります。
就労継続支援B型がどのようなサービスかは、就労継続支援B型とはの記事で詳しく解説しています。相談支援専門員やケアマネジャーと連携しながら、親子それぞれに合った支援制度を組み合わせていくことが望まれます。
ヤングケアラー支援に関わる相談窓口一覧
| 窓口 | 相談できる内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 学校のスクールソーシャルワーカー | 登校支援、家庭環境の調整、進路相談 | 児童・生徒 |
| 市区町村のヤングケアラー相談窓口・こども家庭センター | 家庭状況の聞き取り、福祉サービスへの橋渡し | 子ども・若者、家族 |
| 精神保健福祉センター・保健所 | 精神疾患のある家族への対応、医療機関の紹介 | 家族全体 |
| NPO法人など福祉相談機関 | 家族相談、障害福祉サービスの利用支援 | 本人・家族 |
よくある質問
Q. ヤングケアラーは何歳までを指しますか?
A. 一般的には18歳未満の子どもを指すことが多いですが、大学生年代の若者を含めて「若者ケアラー」として支援の対象とする自治体もあります。年齢の区切りは制度によって異なるため、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。
Q. 学校の先生に相談しても大丈夫ですか?
A. スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーは、家庭の状況を福祉の窓口につなぐ役割も担っています。まずは学校に事情を伝えることも、相談の入り口として有効な選択肢の一つです。
Q. 親が精神疾患の場合、子どもはどんな支援を受けられますか?
A. 直接的には学校や自治体の相談支援がありますが、あわせて親自身が自立支援医療や障害福祉サービスを利用し生活を安定させることも、子どもの負担軽減につながります。詳しい制度内容や利用条件は専門機関にご相談ください。
Q. 自分がヤングケアラーだと自覚がない場合はどうすればいいですか?
A. 多くのヤングケアラーは「自分の家庭が普通」と感じており、自覚がないことは珍しくありません。友人の家庭と比べて負担が大きいと感じたときや、学校生活に支障が出てきたときは、一人で判断せず身近な大人に話してみることをおすすめします。
Q. 家族会とヤングケアラー支援の違いは何ですか?
A. 家族会は精神疾患のある方のご家族同士が経験を共有し支え合う場であるのに対し、ヤングケアラー支援は子ども・若者本人の生活や学業を守ることに重点を置いた仕組みです。どちらも家族全体を支える点では共通しており、あわせて活用することが望まれます。
NPO法人琉仁福祉会にご相談ください
NPO法人琉仁福祉会では、精神保健福祉士が中心となり、精神疾患のある方ご本人だけでなく、そのご家族が抱える悩みにも寄り添っています。沖縄県沖縄市・埼玉県で運営する就労継続支援B型事業所では、通所を通じて生活リズムを整え、無理のないペースで工賃収入を得ることができます。ご家族の中にヤングケアラーとして負担を抱えるお子さんがいらっしゃる場合も、まずはご本人の治療・生活の安定に向けて、一緒に道筋を考えさせていただきます。事業所見学やご相談はお気軽にお問い合わせください。
まとめ
ヤングケアラーは、精神疾患のある家族と暮らす子どもにとって、決して他人事ではないテーマです。子ども本人が声を上げにくいからこそ、学校や自治体の相談窓口に加え、親自身が障害福祉サービスを利用して生活を安定させることが、家族全体を守る一歩になります。一人で抱え込まず、精神保健福祉士をはじめとする専門職に早めに相談することが大切です。
お住まいの地域で相談できる窓口
就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。
- 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
- 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
- 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
- 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談
「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。
沖縄・埼玉にお住まいの方へ
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県川口市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。

