アサーションとは、自分の気持ちや考えを、相手を尊重しながら率直に伝えるコミュニケーションの方法です。精神保健福祉士として相談を受けていると、「断れない」「うまく言えず溜め込んでしまう」という声を数多く聞きます。
この記事では、アサーションの基本から練習方法までを、できるだけ短い言葉でお伝えします。
この記事で分かること
- アサーションの意味と、3つの伝え方のタイプの違い
- 断る・頼むときの具体的な言い方の例
- 今日から試せる5ステップの練習方法と相談先
結論として、アサーションは「性格」ではなく「練習で身につくスキル」です。無理のない場面から少しずつ試すことで、対人関係の負担を軽くできます。
アサーションとは?自分も相手も大切にする伝え方
アサーションは「自己主張」と訳されることがありますが、わがままを通すことではありません。自分の意見を持ちながら、相手の意見にも耳を傾ける姿勢を指します。
ポイントは、自分と相手のどちらも犠牲にしないことです。我慢して黙るのでも、強く押し切るのでもない、第三の選択肢だと考えてください。
福祉の現場では、生活技能訓練(SST)の中心的なテーマとしても扱われます。詳しくは生活技能訓練(SST)とはの記事をご覧ください。
アサーションの3つのタイプ|攻撃的・受け身・アサーティブの違い
人の伝え方は、大きく3つに分けて説明されることが多いです。まずは自分がどの傾向に近いか、振り返ってみましょう。
| タイプ | 特徴 | よくある言い方 |
|---|---|---|
| 攻撃的 | 自分を優先し、相手を軽んじやすい | 「どうしてできないの」 |
| 受け身(非主張的) | 相手を優先し、自分の気持ちを後回しにする | 「大丈夫です…(本当は無理)」 |
| アサーティブ | 自分も相手も尊重して伝える | 「今日は難しいので、明日なら対応できます」 |
どのタイプにも、その場を乗り切るための理由があります。「受け身だからダメ」ではなく、選択肢を増やすことが目的です。
アサーションが精神障害のある方に役立つ理由
気持ちを言えずに溜め込むと、ストレスが積み重なり、体調の波につながることがあります。自己肯定感が下がっているときほど、断ることや頼むことが難しくなりがちです。
アサーションを身につけると、次のような変化が期待できます。
- 「しんどい」「休みたい」を早めに伝えられる
- 職場や事業所での対人関係の誤解が減る
- 自分の気持ちを整理する習慣がつく
ただし、効果の出方には個人差があります。調子が悪い時期に無理をして試す必要はありません。
アサーションの具体例|断る・頼む・気持ちを伝える
実際の場面で使える言い方を、いくつか紹介します。
断るとき
「お誘いありがとうございます。今日は体調を整えたいので、参加は見送ります。」と、感謝・理由・結論の順で伝えます。
頼むとき
「作業の手順が分からなくなりました。もう一度、見本を見せてもらえますか。」のように、困りごとと希望をセットにします。
Iメッセージで気持ちを伝えるとき
「あなたはいつも急かす」ではなく、「急ぐと焦ってしまうので、時間に余裕をもらえると助かります」と、主語を自分にする方法です。相手を責めずに済むため、対人関係のこじれを防ぎやすくなります。
アサーションの練習方法5ステップ
認知行動療法の考え方にもとづく練習として、次の5ステップがよく使われます。認知行動療法については認知行動療法とはで解説しています。
- 困った場面を1つ選び、事実だけを書き出す
- そのときの自分の気持ちと、本当の希望を言葉にする
- Iメッセージで短い一文にまとめる
- 支援者や仲間と役割を決めて、声に出して練習する
- 実際の場面で試し、うまくいった点を振り返る
最初は、失敗しても影響が小さい場面から始めてください。「完璧に言えたか」ではなく「少し言えたか」を基準にします。
アサーションのデメリットは?うまくいかないときの注意点
アサーションを使っても、相手が必ず受け入れてくれるとは限りません。伝え方を整えても、相手の反応までは変えられないためです。
また、強い不安や緊張があるときに無理に練習すると、かえって疲れてしまうことがあります。そのような場合は、医師や支援者に相談しながら進めましょう。医療や法的な判断が必要な場面では、専門機関への相談をおすすめします。
よくある質問
Q. アサーションは性格が控えめな人には向いていませんか?
A. 控えめな方こそ役立つ場合があります。声の大きさや話す量を変える必要はなく、自分の希望を短く伝える練習から始められます。
Q. 相手が怒ってしまったらどうすればよいですか?
A. その場で無理に話し続けず、いったん距離を置くことも大切です。落ち着いてから改めて伝える方法もあります。必要に応じて支援者に同席してもらうことも検討してください。
Q. アサーションはどこで練習できますか?
A. 福祉事業所のSSTや、精神科デイケア、相談支援の場などで取り組めることがあります。実施の有無は事業所ごとに異なるため、お住まいの自治体の窓口や相談支援専門員にご確認ください。
Q. 職場でアサーションを使うと評価に響きませんか?
A. 丁寧な言い方で困りごとと希望を伝えることは、むしろ働き続けやすさにつながると考えられています。ただし職場の状況によって異なるため、迷う場合は支援者と一緒に伝え方を検討しましょう。
琉仁福祉会でのアサーションの学びと相談
NPO法人琉仁福祉会は、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型を運営しています。作業を通じた対人関係の中で、無理のない伝え方を職員と一緒に練習できます。制度の概要は就労継続支援B型とはでご確認いただけます。
障害福祉サービス全体の仕組みは、厚生労働省の障害福祉サービスの内容でも案内されています。見学や体験のご相談は、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
アサーションは、自分も相手も大切にしながら気持ちを伝える練習で身につくスキルです。
- 伝え方には「攻撃的」「受け身」「アサーティブ」の3タイプがある
- 断る・頼むときは、感謝・理由・希望の順で短く伝える
- 5ステップで、小さな場面から無理なく練習する
一人で抱え込まず、精神保健福祉士や相談支援専門員など、身近な専門職に相談してみてください。
お住まいの地域で相談できる窓口
就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。
- 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
- 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
- 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
- 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談
「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。
沖縄にお住まいの方へ
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。

