感覚過敏とは|仕事で困る5つの場面と職場でできる工夫を精神保健福祉士が解説

感覚過敏を解説する記事のアイキャッチ画像

感覚過敏とは、音・光・におい・触感などの刺激を、ほかの人より強く感じてしまう状態のことです。精神保健福祉士として相談を受けていると、「職場の音がつらくて疲れ切ってしまう」という声を少なくありません。

感覚過敏は「気の持ちよう」ではなく、本人の感じ方の特性です。この記事では、仕事への影響と工夫をできるだけ具体的にお伝えします。

この記事で分かること

  • 感覚過敏の種類と、仕事で困りやすい5つの場面
  • 職場や事業所で相談できる配慮・工夫の具体例
  • 感覚過敏がある方の働き方の選択肢と相談先

結論から言うと、感覚過敏は「環境を整える」ことで負担を減らせる場合が多く、一人で我慢し続ける必要はありません。困りごとを言葉にして、周囲や支援機関に伝えることが第一歩です。

感覚過敏とは何ですか?

感覚過敏とは、感覚への刺激に対して、過度に強く反応してしまう状態を指します。たとえば、周りの人は気にならない蛍光灯のまぶしさや、空調の音が強い苦痛になることがあります。

反対に、刺激を感じにくい「感覚鈍麻」という特性もあります。一人の中で、過敏な感覚と鈍い感覚が同時にあることも珍しくありません。

なお、感覚過敏は診断名ではなく、あくまで特性や症状を表す言葉です。気になる場合は、医師などの専門職にご相談ください。

感覚過敏の種類にはどんなものがありますか?

感覚過敏は、どの感覚に表れるかで分けて考えると整理しやすくなります。代表的なものを表にまとめました。

種類 主な困りごとの例
聴覚過敏 話し声・機械音・食器の音が大きく響いて、集中できない
視覚過敏 蛍光灯やパソコン画面がまぶしく、目や頭が疲れる
触覚過敏 衣服のタグや作業用手袋の感触が気になって落ち着かない
嗅覚過敏 香水・洗剤・食べ物のにおいで気分が悪くなる
味覚過敏 特定の食感や味が受け付けず、食事がつらい

感じ方には個人差が大きく、同じ聴覚過敏でも「高い音がつらい人」「雑音が重なるとつらい人」など様々です。

感覚過敏は発達障害や精神疾患と関係がありますか?

感覚過敏は、自閉スペクトラム症などの発達障害のある方や、精神疾患のある方にみられることがあります。通院中の方は自立支援医療(精神通院)を使える場合もあります。ただし、感覚過敏があるからといって、特定の障害があるとは限りません。

原因や背景は人によって異なります。疲労やストレスが強いときに、普段より過敏になる方もいます。

「自分はどうなのだろう」と思ったときは、自己判断せず、医療機関や市区町村の窓口でご確認ください。制度の一つとして精神障害者保健福祉手帳もあります。

感覚過敏で仕事に困るのはどんな場面ですか?

感覚過敏は、働くうえでの「疲れやすさ」につながりやすい特性です。相談の中で多い5つの場面をご紹介します。

  1. オフィスや作業場の音:電話・会話・機械音が重なり、頭が疲れてしまう
  2. 照明やパソコン画面:まぶしさで目の奥が痛くなる
  3. 制服や作業着:素材やタグの刺激で、ずっと気になってしまう
  4. においの強い環境:休憩室や食堂のにおいで気分が悪くなる
  5. 人混みや通勤:電車の混雑・騒音で、仕事前に消耗する

こうした刺激が積み重なると、仕事の内容ではなく「環境」が原因で、働き続けにくくなることがあります。

感覚過敏への対処法や職場でできる工夫はありますか?

刺激を完全になくすのは難しくても、減らす工夫はいくつかあります。ご自身でできることと、職場にお願いできることに分けて考えてみましょう。

自分でできる3つの工夫

  • 聴覚:イヤーマフや耳栓、ノイズを抑えるイヤホンを使う
  • 視覚:サングラスや遮光レンズ、画面の明るさ調整を試す
  • 触覚:肌ざわりのよい下着を着る、タグを外す

職場にお願いできる合理的配慮の例

職場には、障害のある方が働きやすいよう調整する「合理的配慮」の考え方があります。感覚過敏に関する相談では、たとえば次のような例があります。

  • 人の出入りが少ない席や、パーテーションのある席に変えてもらう
  • 照明の位置や明るさを調整してもらう
  • 休憩を細かく取り、静かな場所で休めるようにする
  • 服装や作業着の素材について相談する

配慮の可否は職場によって異なります。まずは「何が、どのくらいつらいか」を具体的に伝えることが大切です。

感覚過敏があっても就労継続支援B型で働けますか?

感覚過敏があっても、就労継続支援B型を利用して働く方はいらっしゃいます。B型事業所は、体調や特性に合わせて、短い時間から働き始められるのが特徴です。

見学や体験利用のときは、次の点を確認してみてください。

  • 作業スペースの広さ、静けさ、照明の様子
  • 席の配置を相談できるか
  • 休憩のとり方や、静かな休憩スペースの有無
  • 作業の種類(音やにおいが出る作業かどうか)

就労移行支援との違いが気になる方は、就労継続支援B型と就労移行支援の違いの記事も参考にしてください。利用できるかどうかは、お住まいの市区町村の窓口で確認します。

感覚過敏のことはどこに相談すればよいですか?

相談先は一つではありません。状況に合わせて使い分けると安心です。

  • 通院中の方は、主治医や医療機関の相談員(精神保健福祉士)
  • お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口
  • 地域の相談支援事業所や就労支援機関

障害福祉サービスの全体像は、厚生労働省の障害福祉サービスの内容のページで確認できます。事業所の情報はWAM NETでも調べられます。

よくある質問

Q. 感覚過敏は大人になってから治りますか?

A. 感じ方の特性は、完全になくなるとは限りません。一方で、環境調整や道具の活用、慣れ方の工夫によって、困りごとが軽くなる方もいます。医療的な判断が必要な場合は、主治医にご相談ください。

Q. 感覚過敏があると障害者手帳は取得できますか?

A. 手帳の対象かどうかは、感覚過敏だけでなく、診断名や生活・就労への影響などをふまえて判断されます。感覚過敏だけで決まるものではないため、詳しくはお住まいの自治体の窓口でご確認ください。

Q. 職場に感覚過敏を伝えるのは不利になりませんか?

A. 伝え方や職場の理解度によって状況は変わります。「診断名」よりも「困る場面と、あると助かる工夫」を伝える方が、配慮につながりやすいといわれます。迷うときは支援機関に相談してから決めても遅くありません。

Q. 感覚過敏と疲れやすさは関係しますか?

A. 刺激を強く感じ続けると、心身が消耗しやすくなると考えられます。帰宅後にぐったりする場合は、休息の取り方や環境の見直しが役立つことがあります。つらさが続くときは、医療機関にご相談ください。

琉仁福祉会にご相談ください

NPO法人琉仁福祉会は、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型を運営しています。「音や光がつらくて働き方に自信がない」という方も、まずは見学・ご相談だけでも大丈夫です。

理事長で精神保健福祉士の田中圭周が、一人ひとりの特性に合わせた働き方を一緒に考えます。

まとめ

感覚過敏は、音・光・触感などへの感じ方が強い特性で、仕事では「疲れやすさ」につながりやすいものです。

  • 種類は聴覚・視覚・触覚・嗅覚・味覚など様々
  • イヤーマフなどの道具や、席・照明の調整で負担を減らせる場合がある
  • B型事業所を含め、特性に合う働き方の選択肢がある

一人で抱え込まず、医療機関や支援機関に相談してみてください。

お住まいの地域で相談できる窓口

就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。

  • 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
  • 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
  • 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
  • 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談

「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。

沖縄にお住まいの方へ

NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。