きょうだい支援とは|精神障害のある家族を持つ方の3つの悩みと相談先を精神保健福祉士が解説

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「きょうだい支援」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。精神障害や心の病気のあるご家族をもつごきょうだいは、周囲から気づかれにくい孤独感や罪悪感を抱えたまま日々を過ごしていることが少なくありません。この記事では、精神保健福祉士としてご家族からの相談を受けてきた立場から、きょうだい支援の考え方と具体的な相談先を分かりやすく解説します。

この記事で分かることは、次の3つです。

  • きょうだい支援とはどのような取り組みなのか
  • 精神障害のあるきょうだいが抱えやすい心理的な悩みの背景
  • 相談できる窓口や「きょうだい会」の探し方

結論から言うと、きょうだい支援とは、精神障害や発達障害、病気のある方のごきょうだいが感じる孤立感や将来への不安を、専門職や同じ立場の仲間とのつながりを通じて軽くしていく取り組みです。一人で抱え込まず、早めに相談窓口や「きょうだい会」とつながることが、ご本人ときょうだい双方の安定した暮らしにつながります。

きょうだい支援とは何か

きょうだい支援とは、精神障害や発達障害、慢性疾患などのある方のごきょうだい(兄弟姉妹)を対象にした心理的・情報的なサポートを指します。障害のある家族への支援は、本人や親へのケアが中心になりがちで、きょうだいの気持ちは後回しにされやすいという課題があります。

きょうだいは幼いころから「わがままを言ってはいけない」「自分がしっかりしなければ」と感じ、我慢を重ねてしまうケースが多く見られます。きょうだい支援は、こうした気持ちを言葉にできる場をつくり、同じ立場の人とつながる機会を提供することで、孤立感をやわらげることを目的としています。

なぜきょうだい支援が必要なのか

精神障害のある方のごきょうだいは、次のような心理的な負担を抱えやすいといわれています。

  • 親の関心が本人に向きやすく、自分の気持ちを話しづらい
  • 「自分は病気にならなくてよかった」という罪悪感
  • 将来、自分が本人を支える立場になるのではという不安
  • 友人や周囲に家族のことを話しにくい孤立感

これらの感情は、思春期から成人期、さらには「親なきあと」を意識する時期まで、形を変えながら続いていくことが少なくありません。だからこそ、ライフステージに応じたきょうだい支援が求められています。なお、精神障害のある親をもつ子どもへの支援は「ヤングケアラー」支援として別に取り組まれていますが、きょうだい支援は成人期以降も継続して必要になる点が特徴です。

きょうだいが抱えやすい3つの悩み

罪悪感を抱えてしまう

「自分だけ普通に進学・就職できてよいのだろうか」という罪悪感を抱くきょうだいは少なくありません。この感情は本人や家族に話しにくく、一人で抱え込みやすい傾向があります。

将来の役割に対する不安

「親なきあと、自分が本人を支えなければならないのでは」という不安も、きょうだいに特有の悩みです。結婚や転居など自分自身のライフイベントと重ねて考えることで、負担感が強まる場合があります。

家族以外に相談しにくい孤立感

精神障害への理解が周囲に広がっていないと感じる場合、友人や職場の人に家族の状況を話しにくく、孤立感を深めてしまうことがあります。

きょうだい支援の相談先・利用できるサービス

きょうだい支援は、単独の制度として存在するわけではなく、いくつかの相談窓口や団体が連携しながら担っています。代表的な相談先は次のとおりです。

相談先 主な特徴 こんな方におすすめ
精神保健福祉センター 都道府県・政令市が設置する専門機関で、家族向けの相談や講座を実施 まずは制度や相談先について整理したい方
基幹相談支援センター 地域の相談支援の中核として、家族からの相談にも対応 本人の福祉サービス利用と合わせて相談したい方
家族会 親やきょうだいなど家族が集まり、体験を共有する会 同じ立場の家族とつながりたい方
きょうだい会(セルフヘルプグループ) きょうだいのみを対象とした当事者団体主催の集まり きょうだいという立場に特化して話したい方
ピアサポート団体 同じ経験をした人が話を聴き、寄り添う活動 専門職よりも当事者に近い立場で話したい方

どこに相談すればよいか迷う場合は、まずお住まいの自治体の精神保健福祉センターや基幹相談支援センターに問い合わせると、地域のきょうだい会や家族会の情報を紹介してもらえることがあります。制度の詳細は厚生労働省の障害福祉サービスの案内でも確認できます。

きょうだい会(セルフヘルプグループ)とは

きょうだい会とは、精神障害や発達障害などのある方のごきょうだいだけが集まり、体験や気持ちを共有するセルフヘルプグループです。親世代が中心になりやすい家族会とは異なり、きょうだいという立場に特化しているため、「親には言えなかった本音」を話しやすいという声も聞かれます。

開催頻度や形式は団体によって異なり、対面のほかオンラインで実施される会もあります。参加を検討する際は、事前に活動内容や対象年齢を確認しておくと安心です。

親なきあと、きょうだいはどう備えればよいか

「親なきあと」に向けて、きょうだいが一人で抱え込まないためには、早い段階から準備を進めておくことが大切です。具体的には、次のような取り組みが考えられます。

  1. 本人がどのような暮らし方を望んでいるか、できる範囲で話し合っておく
  2. 基幹相談支援センターや相談支援専門員に、家族全体の状況を共有しておく
  3. グループホームなど、本人が地域で暮らし続けるための選択肢を早めに知っておく
  4. 金銭管理や意思決定の支援について、成年後見制度などの活用を検討しておく

本人がどのような障害福祉サービスを利用できるかは、精神障害者保健福祉手帳とは自立支援医療(精神通院)とはの記事もあわせてご確認ください。また、日中の活動先として就労継続支援B型とはで紹介している働き方も選択肢のひとつです。すべてをきょうだいだけで背負う必要はなく、制度や事業所と役割を分担していく視点が大切です。

よくある質問

Q. きょうだい支援は誰でも利用できますか

A. 多くのきょうだい会や家族会は、精神障害や発達障害のある方のごきょうだいであれば年齢を問わず参加できる場合が多いです。ただし団体によって対象や条件が異なるため、事前に主催者へ確認することをおすすめします。

Q. きょうだい会と家族会はどう違いますか

A. 家族会は親や配偶者などを含む家族全体を対象とすることが多いのに対し、きょうだい会はきょうだいという立場に限定して開かれる点が異なります。同世代同士で話しやすいという特徴があります。

Q. 親に本音を話せない場合はどうすればよいですか

A. 無理に家族の中で解決しようとせず、精神保健福祉センターや基幹相談支援センターなど第三者の相談窓口を利用する方法があります。専門職に話すことで、気持ちの整理がしやすくなる場合があります。

Q. きょうだい支援はいつから始めるべきですか

A. 悩みが深刻化してからでなくても、気になった時点で相談して問題ありません。特に進学・就職・結婚などライフイベントの前後は不安が強まりやすいため、早めに情報を集めておくと安心です。

Q. オンラインでの相談や参加は可能ですか

A. 団体によってはオンライン開催のきょうだい会や相談窓口を設けている場合があります。詳しくはお住まいの地域の精神保健福祉センターや、各団体の案内をご確認ください。

NPO法人琉仁福祉会からのご案内

NPO法人琉仁福祉会は、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型事業所を運営し、精神保健福祉士が本人だけでなくご家族からのご相談にも対応しています。きょうだいという立場だからこそ抱える悩みについても、一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。制度の説明や地域の相談先の紹介など、できる範囲でサポートいたします。

まとめ

きょうだい支援とは、精神障害や発達障害のある方のごきょうだいが抱えやすい罪悪感や孤立感、将来への不安を、専門職や同じ立場の仲間とのつながりを通じて軽くしていく取り組みです。精神保健福祉センターや基幹相談支援センター、きょうだい会など、複数の相談先があります。一人で抱え込まず、気になったタイミングで相談窓口とつながることから始めてみてください。

お住まいの地域で相談できる窓口

就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。

  • 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
  • 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
  • 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
  • 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談

「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。

沖縄にお住まいの方へ

NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。