移動支援とは|外出支援サービスの対象者・申請手順・費用を精神保健福祉士が解説

移動支援は、一人での外出が難しい障害のある方が、ヘルパーの同行を受けて安心して外出できる障害福祉サービスです。精神保健福祉士として支援現場に関わってきた立場から、移動支援の仕組み・対象者・申請手順・費用負担について詳しく解説します。

「外出が怖い」「一人ではバスに乗れない」と感じている方や、そのご家族・支援者の方にもぜひ参考にしていただければ幸いです。

この記事でわかること(結論)

  • 移動支援は市区町村が実施する地域生活支援事業のひとつ
  • 精神障害・知的障害・身体障害・難病のある方が対象(手帳が必要な場合が多い)
  • 費用は原則1割負担、低所得世帯は実質無料
  • 申請は市区町村の障害福祉窓口、受給者証交付まで2〜4週間
  • 通所・通勤目的には使えないが、通院・余暇・買い物など幅広い外出に使える

移動支援とはどんなサービスか

移動支援(外出支援)は、障害者総合支援法にもとづく「地域生活支援事業」の一つです。一人での外出が困難な障害のある方に、ヘルパー(ガイドヘルパー)が同行してサポートします。

地域生活支援事業は国が制度の大枠を定め、詳細な内容・支給量・費用負担は各市区町村が独自に設定します。そのため、サービスの範囲や利用できる時間数はお住まいの自治体によって異なります。

移動支援の対象となる外出の主な例は以下のとおりです。

  • 通院・健診・リハビリへの付き添い
  • 買い物・外食・散歩などの余暇活動
  • 公共交通機関(バス・電車)の利用支援
  • 地域のイベントや文化活動への参加
  • 冠婚葬祭など社会的な行事

一方、通勤・通学・就労継続支援B型などへの通所目的は原則として対象外です。社会参加に結びつく外出を支援するサービスと理解しておきましょう。

移動支援の対象者と必要な書類

移動支援を利用できる方は市区町村によって異なりますが、一般的な対象と必要書類は以下のとおりです。

障害の種類 主な対象 主な必要書類
精神障害 精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方(1〜3級) 精神障害者保健福祉手帳
知的障害 療育手帳(愛の手帳)をお持ちの方 療育手帳
身体障害 視覚障害・全身性障害で外出が困難な方 身体障害者手帳
難病 障害者総合支援法の対象疾患をお持ちの方 難病の受給者証・医師の診断書

精神障害のある方の場合、精神障害者保健福祉手帳(1〜3級)を所持していれば対象になる自治体が多いです。手帳がなくても、自立支援医療の受給者証をもとに申請できる市区町村もあります。まずは窓口で現在の状況をお伝えください。

移動支援の申請手順・流れ

移動支援の申請から利用開始までの流れを6ステップで説明します。

  1. 市区町村の窓口へ相談・申請:お住まいの市区町村の障害福祉課(または福祉事務所)の窓口に相談し、サービス利用申請書を提出します。
  2. 必要書類の準備・提出:障害者手帳や診断書など、市区町村が指定する書類を揃えます。
  3. 認定調査・支給決定:必要に応じて認定調査が行われ、支給の要否と支給量(月の利用時間上限)が決定されます。
  4. 受給者証の受取:支給決定を受けると受給者証が交付されます。受給者証には利用できるサービスの種類・支給量が記載されます。
  5. 事業者との契約:移動支援を実施している居宅介護(ヘルパー)事業所を選び、契約を結びます。
  6. サービス開始:担当ヘルパーと外出の日程・目的を相談し、サービスを開始します。

申請から受給者証の交付まで、一般的に2〜4週間かかります。急いで支援が必要な場合は、窓口にその旨を早めに伝えましょう。相談支援専門員に同行してもらうと手続きがスムーズに進みます。

移動支援の費用(自己負担額)

移動支援の費用は、利用したサービス費の1割が自己負担です。ただし、世帯の収入に応じた負担上限月額が設定されており、上限を超えた分は免除されます。

世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護を受給している世帯 0円
市民税非課税世帯(低所得) 0円
市民税課税世帯(概ね収入600万円未満) 9,300円
上記以外(一定以上の収入がある世帯) 37,200円

精神障害のある方は低所得世帯が多く、実質的に費用がかからないケースが少なくありません。なお、市区町村によって費用設定が異なる場合があるため、窓口で正確な金額を確認することをおすすめします。

ガイドヘルパーの役割と資格要件

移動支援を担当するヘルパーは「ガイドヘルパー」と呼ばれます。対象とする障害の種別によって、求められる研修の種類が異なります。

知的障害・精神障害のある方の外出支援では、「移動支援従業者養成研修(知的・精神障害課程)」を修了したヘルパーが対応します。ガイドヘルパーの主な役割は以下のとおりです。

  • 外出中の安全確保・移動のサポート
  • 公共交通機関の利用補助(切符購入・乗り降りなど)
  • コミュニケーション支援・代読・代筆
  • 突発的なトラブルへの対応
  • 精神的な安心感の提供(傍にいること自体が支えになる)

ガイドヘルパーは単に「移動を助ける人」ではなく、外出先での意思決定や社会参加を共に支えるパートナーです。相性のよいヘルパーと長く関わり続けることが、外出の継続につながります。

行動援護・同行援護との違い

移動支援と混同されやすいサービスに「行動援護」と「同行援護」があります。それぞれの違いを整理します。

サービス名 主な対象者 根拠 特徴
移動支援 幅広い障害のある方 地域生活支援事業(市区町村) 自治体ごとに内容・支給量が異なる
行動援護 知的・精神障害で行動上の困難がある方 障害者総合支援法(介護給付) 全国一律基準、外出前後も含む包括支援
同行援護 視覚障害のある方 障害者総合支援法(介護給付) 視覚情報の提供・代読・代筆も含む

行動援護・同行援護は国が定める介護給付のため、全国どこでも同じ基準でサービスを受けられます。状態によっては移動支援より手厚いサポートを受けられる場合があります。どのサービスが適切かは、相談支援専門員に相談して決めましょう。

よくある質問(FAQ)

精神障害があっても移動支援は使えますか?

多くの自治体では、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方が移動支援の対象となります。ただし、条件は自治体によって異なるため、市区町村の障害福祉担当窓口でご確認ください。医療機関や相談支援事業所を経由して問い合わせることもできます。

手帳を持っていなくても申請できますか?

原則として障害者手帳等が必要ですが、自立支援医療の受給者証をもとに申請できる自治体もあります。現在の状況を窓口で正直にお伝えいただくことで、利用可能なサービスを一緒に確認できます。

就労継続支援B型への通所に移動支援は使えますか?

原則として福祉施設への通所目的では移動支援を利用できません。事業所の送迎サービスや、地域によっては別途通所支援の仕組みがある場合もありますので、通っている(または検討している)事業所に確認しましょう。

申請してからどれくらいで利用できますか?

市区町村によって異なりますが、申請から受給者証の交付まで2〜4週間程度が目安です。緊急に外出支援が必要な場合は、窓口にその旨をお伝えください。

移動支援と介護保険はどちらが優先ですか?

65歳以上または40〜64歳で特定疾病のある方は、介護保険の訪問介護が優先されます。介護保険では対応できない部分(余暇活動など)は移動支援で補えることがあります。詳細はケアマネジャーや市区町村窓口にご相談ください。

琉仁福祉会からのご案内

NPO法人琉仁福祉会は、精神保健福祉士が在籍する就労継続支援B型事業所を沖縄県沖縄市と埼玉県で運営しています。移動支援をはじめとした各種障害福祉サービスの手続きに関するご相談にも対応しています。

「どのサービスが使えるかわからない」「申請手続きが不安」という方も、お気軽にお問い合わせください。お一人おひとりの状況に合わせて、丁寧にサポートします。

まとめ

移動支援は、障害のある方が地域で安心して外出するために欠かせないサービスです。精神障害のある方も、精神障害者保健福祉手帳があれば多くの自治体で利用できます。

費用は原則1割負担ですが、低所得の方は実質無料になることが多く、経済的な心配をせずに利用できる場合がほとんどです。申請は市区町村の障害福祉担当窓口で行い、受給者証が発行されると事業者と契約してサービスを開始できます。

移動支援を活用することで、外出の機会が増え、地域とのつながりや社会参加の幅が大きく広がります。「一人での外出が不安」「もっと外に出たい」と感じている方は、ぜひ移動支援の利用を検討してみてください。

お住まいの地域で相談できる窓口

就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。

  • 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
  • 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
  • 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
  • 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談

「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。

沖縄・埼玉にお住まいの方へ

NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県川口市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。