障害者虐待防止法とは|5つの虐待種類と通報3ステップを精神保健福祉士が解説

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障害者虐待防止法は、家庭や施設、職場において障害のある方が虐待を受けることを防ぎ、早期発見と迅速な対応につなげるための法律です。「虐待かもしれない」と感じても、通報していいのか迷う方は少なくありません。精神保健福祉士として就労継続支援B型事業所の運営に携わる中で、利用者やご家族から同じようなご相談を受けることがあります。この記事では、障害者虐待防止法の目的や虐待の種類、通報の手順、事業所での取り組みまでを分かりやすく解説します。

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この記事で分かること

  • 障害者虐待防止法の目的と虐待の種類
  • 虐待に気づいたときの通報義務と3つのステップ
  • 市町村・虐待防止センターの役割とB型事業所での防止の取り組み

結論からお伝えすると、障害者虐待防止法のポイントは「気づいた人に通報の義務がある」ことです。虐待をした本人はもちろん、家族や施設の職員、近隣住民であっても、虐待を受けたと思われる方を発見した場合は市町村へ知らせることが法律で定められています。通報したことで通報者が不利益を受けないよう、守秘義務によって保護される仕組みもあります。

障害者虐待防止法とは何か

障害者虐待防止法(正式名称:障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律)は、2012年に施行された法律です。障害のある方への虐待を予防するとともに、虐待が起きてしまった場合に早期に発見し、被害を受けた方を保護することを目的としています。あわせて、虐待をしてしまった養護者への支援も対象に含まれている点が特徴です。

虐待は特別な家庭だけで起こるものではありません。介護や支援の負担、経済的な困窮、孤立などが重なることで、誰にでも起こりうる問題として位置づけられています。

障害者虐待の種類とは|5つの分類

障害者虐待防止法では、虐待を大きく5つの種類に分けています。身体的な暴力だけでなく、暴言や無視、必要な支援を行わないことも虐待にあたる点に注意が必要です。

虐待の種類 具体的な内容の例
身体的虐待 殴る・叩く・つねる、必要以上に身体を拘束する
性的虐待 性的な行為の強要、わいせつな言動をする
心理的虐待 暴言を浴びせる、無視する、脅すような言動をする
放棄・放置(ネグレクト) 食事や入浴の介助をしない、必要な医療や福祉サービスを受けさせない
経済的虐待 本人の同意なく財産や年金、工賃を使い込む

障害者虐待防止法の対象になるのは誰か

障害者虐待防止法が対象とする虐待の場面は、大きく3つに分かれます。

どの場面であっても、虐待を受けた本人だけでなく、周囲が異変に気づくことが早期発見の鍵になります。

虐待を発見したらどうする?通報義務3ステップ

虐待に気づいたときの対応は、次のような流れになります。

  1. 気づいた時点ですぐに市町村の窓口へ連絡する(証拠がそろっていなくても構いません)
  2. 市町村の職員による事実確認や安全確認が行われる
  3. 必要に応じて一時保護や施設への指導、養護者への支援が行われる

通報は虐待の事実が確定していなくても行うことができます。「思い込みだったら申し訳ない」とためらう必要はありません。通報した人の情報や通報内容は守秘義務によって守られ、通報したことを理由に不利益な扱いを受けることもありません。

市町村・虐待防止センターはどう対応するのか

通報を受けた市町村は、虐待の緊急性を判断し、必要な場合は障害者虐待防止センターと連携して対応します。虐待防止センターは、相談の受付や関係機関との調整、養護者への支援など幅広い役割を担う窓口です。

窓口の名称や体制はお住まいの自治体によって異なります。福祉に関する幅広い情報を掲載しているWAM NETなども参考にしながら、詳しい相談先はお住まいの自治体の窓口でご確認ください。

B型事業所で行われている虐待防止の取り組み

就労継続支援B型などの障害福祉施設には、虐待防止のための体制整備が義務付けられています。具体的には、虐待防止のための研修の実施、虐待防止委員会の設置、相談窓口の周知などが挙げられます。

当法人でも、職員研修を通じて虐待の芽に気づく視点を養うとともに、利用者の方が安心して意見を伝えられる関係づくりを大切にしています。

障害者虐待防止法に罰則はあるのか

障害者虐待防止法そのものに直接的な罰則規定はありません。ただし虐待の内容によっては、刑法の傷害罪や暴行罪、業務上横領罪など他の法律による処罰の対象となる場合があります。

また、障害福祉施設従事者等による虐待が確認された場合、事業所に対して都道府県や市町村から指導や改善命令、指定取り消しなどの行政処分が行われることもあります。

よくある質問

Q. 障害者虐待防止法はいつから施行されていますか。

A. 障害者虐待防止法は2012年に施行されました。高齢者虐待防止法や児童虐待防止法が先行して整備されており、障害のある方についても同様の枠組みが必要という声を受けて制定された経緯があります。

Q. 家族が疲れて手を上げてしまいそうな場合も虐待になりますか。

A. 実際に行為に及んでいなくても、追い詰められている状況そのものが支援を必要としているサインです。障害者虐待防止法は養護者への支援も目的としているため、行為の有無にかかわらず早めに相談窓口へ連絡することをおすすめします。

Q. 通報したことが本人や家族に知られてしまいませんか。

A. 通報者の氏名や通報内容に関する秘密は、守秘義務によって守られる仕組みになっています。ただし対応の詳細は個別のケースによって異なるため、心配な場合は相談時に窓口へ直接確認してください。

Q. B型事業所を選ぶときに虐待防止の取り組みを確認できますか。

A. 事業所見学の際に、虐待防止委員会の有無や職員研修の実施状況について質問することができます。運営規程や重要事項説明書に記載されている場合もあるため、気になる場合は見学時に確認するとよいでしょう。

NPO法人琉仁福祉会の取り組み

NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型事業所を運営しています。虐待防止委員会の設置や職員研修を通じて、利用者の方が安心して過ごせる環境づくりに取り組んでいます。事業所の見学や体験利用も受け付けていますので、B型事業所選びで気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

障害者虐待防止法は、障害のある方を虐待から守るとともに、虐待をしてしまった養護者を支援するための法律です。虐待には身体的虐待・性的虐待・心理的虐待・経済的虐待とネグレクトの5つの種類があり、気づいた人には市町村への通報義務があります。一人で抱え込まず、少しでも気になることがあれば、お住まいの自治体の窓口やお近くの事業所に相談してみてください。