職場実習は、障害のある方が就職前に実際の職場で働く体験ができる重要な制度です。精神保健福祉士として多くの方の就職支援に携わる中で、職場実習を経て一般就労に移行された方を数多く見てきました。「就職できるか不安」「どんな仕事が合うかわからない」という方にこそ、ぜひ活用してほしい仕組みです。
本記事では、職場実習の種類・対象者・具体的な流れ・よくある不安への対処法まで、精神保健福祉士の立場からわかりやすく解説します。
職場実習とは:就職前に職場を体験できる制度
職場実習とは、障害のある方が就職前に実際の企業・職場で業務を体験する取り組みです。採用前に職場環境・業務内容・人間関係を確認できるため、就職後のミスマッチを防ぐ効果があります。
就職する前に「自分にできる仕事かどうか」「この職場の雰囲気に合うか」を確かめられるのが最大のメリットです。企業側も採用前に求職者の適性を把握できます。お互いにとって安心の一歩といえます。
精神保健福祉士として感じることは、職場実習の経験が就職活動における大きな自信につながるということです。「一度でも実際に働いてみた」という体験は、面接での説得力を高め、自己理解の深まりにもつながります。
職場実習の主な種類と窓口
職場実習にはいくつかの種類があります。自分の状況や目標に合った経路を選ぶことが大切です。
| 種類 | 主な窓口 | 期間の目安 | 給与・費用 |
|---|---|---|---|
| 障害者試行雇用(トライアル雇用) | ハローワーク | 最長3か月 | 企業から給与支払いあり |
| 就労移行支援事業所の職場実習 | 就労移行支援事業所 | 数日〜数週間 | 原則無給(交通費支給の場合あり) |
| 障害者職業センターの職業準備支援 | 障害者職業センター | 約4〜7週間 | 原則無料 |
| 特別支援学校・高校の就業体験 | 学校経由 | 学校ごとに異なる | 無料 |
どの経路が自分に合っているかは、ハローワーク・就労移行支援事業所・相談支援専門員と一緒に確認することをおすすめします。就労継続支援B型と就労移行支援の違いについての解説もあわせてご覧ください。障害福祉サービスの全体像は厚生労働省「障害福祉サービスについて」もご参照ください。
職場実習の対象者と利用条件
精神障害・発達障害・知的障害・身体障害など、さまざまな障害のある方が対象です。
以下に当てはまる方に特に向いています。
- 精神障害者保健福祉手帳を取得している、または取得見込みの方
- 就労移行支援事業所に在籍している方
- ハローワークに求職登録をしている方
- 一般就労を目指して準備を進めている方
- 就職への不安を実際に職場で解消したい方
手帳がなくても、医師の診断書があれば参加できる実習もあります。主治医や担当支援員に相談してみてください。また、就労継続支援B型に在籍しながら職場実習に挑戦することも可能です。焦らず段階を踏んで進められます。
職場実習の流れ(就労移行支援事業所経由の場合)
就労移行支援事業所を通じた職場実習の一般的な流れを5ステップで説明します。
- 支援員と目標・希望を整理する:どんな仕事がしたいか、どんな環境が合うか、体調の状態を話し合います。
- 実習先の候補を探す:事業所が企業と連絡を取り、希望に合う受け入れ先を調整します。
- 実習前の準備をする:通勤ルートの確認・服装・体調管理の方法などを事前に整えます。
- 実習を実施する(数日〜数週間):実際の業務を体験します。支援員が同行するケースもあります。
- 振り返りと次のステップを考える:実習後に感想・課題を整理し、就職活動に活かします。
各ステップで疑問や不安が出たら、すぐ支援員に相談しましょう。一人で抱え込まないことが、実習を成功させるコツです。
職場実習中のよくある不安と対処法
精神保健福祉士として、実習中によく聞かれる不安をまとめました。事前に知っておくことで落ち着いて対処できます。
「体調が悪くなったらどうすればいい?」
事前に支援員と企業担当者に自分の状態を伝えておくと、早退・休憩を取りやすくなります。無理をせず、まず支援員に連絡しましょう。
「何をすればいいかわからない場面が出てきた」
担当の社員に「今どうすればよいですか」と確認する習慣が大切です。遠慮せず質問することが、職場への定着にもつながります。
「ミスをしてしまった」
実習中のミスは学びの機会です。支援員に報告・相談しながら振り返ることで、本採用後に活かせる経験になります。
「職場の人とうまくコミュニケーションが取れない」
コミュニケーションの不安は多くの方が感じます。合理的配慮の申請も選択肢の一つです。支援員と一緒に対策を考えましょう。
「薬を飲んでいることを知られたくない」
服薬を企業に伝えるかどうかはご自身の判断です。オープン就労・クローズ就労のメリット・デメリットについては別記事で詳しく解説しています。
職場実習後の選択肢と次のステップ
職場実習を終えた後、次のステップは人によって異なります。主な選択肢を紹介します。
- 実習先から内定・採用につながる:実習先企業にそのまま採用される場合があります
- 就職活動の実績として活用する:別の企業への応募で実習経験を強みにできます
- 別の職場で再度実習を行う:違う職種・環境を試してみることも大切な経験です
- 就労継続支援B型を続けながら準備する:体調を優先し、引き続き福祉的就労でスキルを積む選択もあります
どの選択が正解かは人によって違います。計画相談支援の担当者や支援員と相談しながら、自分のペースで進めてください。
就職が決まった後は、就労定着支援を活用することで職場への定着をサポートしてもらえます。安心して長く働き続けるための制度として、ぜひ覚えておいてください。
職場実習に関するよくある質問(FAQ)
Q. 職場実習中の給与はどうなりますか?
A. トライアル雇用は企業から給与が支払われますが、就労移行支援事業所経由の実習は原則無給です。ただし交通費が支給される場合もあります。詳しくは担当の支援員にご確認ください。
Q. 精神障害があっても職場実習はできますか?
A. できます。うつ病・統合失調症・発達障害・不安障害など、さまざまな精神疾患のある方が実習を経験されています。体調・通院状況を踏まえ、支援員と相談しながら無理のない範囲で進めましょう。医療的な判断については必ず主治医にご相談ください。
Q. 就労継続支援B型に在籍したまま実習できますか?
A. 在籍しながら参加できる場合があります。担当職員にご相談ください。B型での活動と実習を組み合わせることで、無理なくステップアップできます。
Q. 実習先が自分に合わなかった場合はどうなりますか?
A. 実習を途中で終了することもできます。「合わなかった」という体験も、次の実習先や職種を考えるための貴重な情報です。支援員に正直に伝えてください。
Q. 何社くらい実習を経験するのが一般的ですか?
A. 個人差がありますが、1〜3社程度を経験する方が多いです。実習を重ねることで自分の強みや働き方の傾向が明確になってきます。
琉仁福祉会では職場実習への準備から一緒に考えます
NPO法人琉仁福祉会は、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型を運営するNPO法人です。精神保健福祉士をはじめとする専門スタッフが、利用者一人ひとりのペースに合わせたサポートを提供しています。
将来的に一般就労を目指せるよう、職業スキルの向上・生活リズムの安定・就職活動のサポートにも力を入れています。職場実習に向けた準備段階からのご相談も、ぜひお気軽にご連絡ください。
- 沖縄市事業所(比屋根):精神障害・発達障害のある方を対象
- 埼玉事業所:精神障害・発達障害のある方を対象
まずは体験利用からスタートすることも可能です。職場実習への不安がある方も、一緒に準備を進めていきましょう。いつでもご相談をお待ちしています。
まとめ:職場実習で就職への一歩を踏み出そう
職場実習は、障害のある方が安心して就職準備を進めるための大切な機会です。実際に職場を体験することで、自己理解が深まり、就職後のミスマッチを防げます。
実習の種類・対象者・流れ・よくある不安への対処法を理解することで、より主体的に取り組めます。「一歩踏み出してみたい」と思ったら、まずは支援者や事業所に相談することから始めましょう。
琉仁福祉会では、沖縄・埼玉のどちらでも随時ご相談を受け付けています。精神保健福祉士の立場から、あなたのペースに合わせた支援を提供します。
お住まいの地域で相談できる窓口
就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。
- 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
- 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
- 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
- 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談
「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。
沖縄・埼玉にお住まいの方へ
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県川口市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。

