高次脳機能障害のある方が就労継続支援B型を利用できることは、まだ十分に知られていません。脳卒中・交通事故・脳炎などによる脳損傷の後遺症として、記憶障害・注意障害・遂行機能障害などが残ったとき、就労継続支援B型は社会参加と生活再建を支える有力な選択肢です。
精神保健福祉士として沖縄・埼玉の就労支援現場に携わってきた著者が、高次脳機能障害の基礎知識から、B型事業所での具体的な支援内容、受給者証の申請手順まで丁寧に解説します。
この記事の結論:高次脳機能障害の方はB型事業所を利用できる
高次脳機能障害は、障害者総合支援法の対象障害です。精神障害者保健福祉手帳(1〜3級)または医師の診断書があれば、就労継続支援B型の受給者証を申請できます。週1〜2日の短時間利用から始められ、体験利用で環境を確認してから利用開始することも可能です。
まずは無料の事業所見学から始めることをおすすめします。事業所見学の流れと準備については別記事で詳しく解説しています。
高次脳機能障害とは:症状と原因を理解する
高次脳機能障害とは、脳の損傷によって生じる認知・行動・精神機能の障害です。外見からはわかりにくいため「見えない障害」とも呼ばれます。
主な原因は次のとおりです。
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)
- 交通事故などによる脳外傷
- 脳炎・脳腫瘍・低酸素脳症
代表的な症状は以下の6つです。
- 記憶障害:新しいことを覚えられない、物の置き場所を忘れる
- 注意障害:集中が続かない、ミスが増える、二つのことを同時にできない
- 遂行機能障害:計画を立てて実行できない、手順通りに動けない
- 社会的行動障害:感情のコントロールが難しい、衝動的になる
- 失語:言葉が出にくい、聞いて理解することが難しい
- 半側空間無視:片側の空間・物体を認識しにくい
これらの症状は組み合わさって現れることが多く、就労場面で「指示が理解できない」「同じミスを繰り返す」「対人関係のトラブルが起きやすい」といった困難につながります。就労継続支援B型では、こうした特性を踏まえた個別支援が受けられます。
高次脳機能障害で就労継続支援B型を利用できる条件
高次脳機能障害のある方がB型を利用するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 18歳以上65歳未満(65歳以上でも例外あり)
- 精神障害者保健福祉手帳(1〜3級)を所持している
- または、医師の診断書により障害福祉サービス受給者証を取得できると認められた方
- 就労移行支援を利用したが一般就労が難しいと判断された方
- 障害・疾病により一般就労が困難な状況にある方
高次脳機能障害は、精神障害者保健福祉手帳の申請対象です。主治医や医療相談員に相談し、手帳の申請を進めることで、受給者証の申請が可能になります。精神障害者保健福祉手帳の申請方法については別記事で詳しく説明しています。
高次脳機能障害のある方への具体的な支援内容
高次脳機能障害のある方に対し、B型事業所では症状の特性に合わせた個別対応が行われます。
記憶障害への対応として、作業手順を見やすいカードや写真でまとめたマニュアルを用意します。注意障害には、騒音の少ない個別スペースでの作業や、短時間区切りでの休憩導入が効果的です。遂行機能障害には、スタッフが毎日の作業ステップを一緒に確認するサポートを行います。
具体的な作業内容としては、以下のようなものが一般的です。
- 手工芸・袋詰め・箱折りなどの軽作業
- 農作業(農福連携)
- PC入力・データ整理などの事務補助
- カフェ運営・接客補助
- 清掃・物品管理
琉仁福祉会では、BISTARGO COFFEEというカフェ業務も行っており、接客スキルを活かせる環境が整っています。精神保健福祉士として大切にしているのは、高次脳機能障害のある方の「できること」「したいこと」を中心に置いたストレングス視点での支援です。
受給者証の申請から利用開始までの流れ
高次脳機能障害の方がB型事業所を利用するための手続きは以下の流れです。
- 主治医・相談支援専門員に相談する:B型利用の希望を伝え、意見書や診断書の準備を依頼します
- 市区町村の福祉窓口へ申請する:申請書・診断書・サービス等利用計画案を提出します
- 障害支援区分の調査:認定調査員の訪問があります(B型は区分不要の場合もあります)
- 受給者証の交付:審査通過後に受給者証が交付されます
- 事業所との利用契約:希望のB型事業所と契約し、体験利用を経て本利用を開始します
受給者証の申請から交付まで、通常1〜2か月かかります。受給者証の申請と使い方については別記事で詳しく解説しています。
工賃・費用・利用日数の目安
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 月額工賃(全国平均) | 約17,000円 | 事業所・就労日数により異なる |
| 利用者負担(自己負担) | 0円〜9,300円/月 | 前年度の所得により異なる(多くの方は0円) |
| 利用日数 | 週2〜5日 | 体調・症状に合わせて調整可能 |
| 1日の利用時間 | 4〜8時間 | 短時間利用も相談可能 |
| 昼食代 | 300〜500円程度 | 事業所によって異なる |
利用者の自己負担は、世帯所得に応じて決まります。多くの方が0円または月額上限9,300円以内で利用できます。生活保護受給中の方も利用可能です。
相談できる窓口と外部連携
高次脳機能障害に関する専門相談は以下の窓口で受けられます。
- 高次脳機能障害支援拠点機関:各都道府県に設置されており、診断・リハビリ・就労支援を総合的に担います
- 精神保健福祉センター:精神障害・高次脳機能障害に関する相談を無料で受けられます
- 相談支援事業所:サービス等利用計画の作成や、B型事業所の選び方についてサポートしてくれます
- 医療機関のリハビリ科・神経内科:診断後のリハビリ計画について相談できます
高次脳機能障害のある方の支援では、医療・福祉・家族が連携することが重要です。B型事業所は日中の居場所と工賃提供だけでなく、相談支援専門員や医療機関との橋渡し役としても機能します。
よくある質問(FAQ)
Q:高次脳機能障害の診断書はどこで取れますか?
神経内科・脳神経外科・精神科などで取得できます。主治医に「B型福祉サービスを利用したい」と伝え、診断書や意見書の発行を依頼してください。具体的な内容は主治医や医療相談員にご相談ください。このサイトでは医療的なアドバイスは行っておりません。
Q:精神障害者手帳がなくても利用できますか?
手帳がなくても、医師の診断書があれば受給者証を申請できる場合があります。市区町村の福祉窓口または相談支援専門員に相談することをおすすめします。
Q:体験利用はできますか?
はい、体験利用は受給者証がなくても数日間試せるケースが多いです。事業所に直接問い合わせるか、相談支援専門員を通じて調整できます。体験利用の流れと必要書類についても別記事で解説しています。
Q:家族が申請手続きを代わりに進められますか?
はい、ご本人の意思確認のうえで家族が代理で申請手続きを進めることができます。詳しくは市区町村の障害福祉窓口にお問い合わせください。
NPO法人琉仁福祉会への見学・相談のご案内
琉仁福祉会は、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型を運営するNPO法人です。高次脳機能障害のある方の受け入れ実績があり、個々の症状や生活リズムに合わせた支援プランを精神保健福祉士が作成します。
まずはお気軽に事業所見学・無料相談をご活用ください。精神保健福祉士がご本人・ご家族のご相談に対応します。
- 沖縄市の就労継続支援B型事業所:沖縄市B型事業所の詳細はこちら
- 埼玉の就労継続支援B型事業所:埼玉B型事業所の詳細はこちら
まとめ:高次脳機能障害のある方はB型で社会参加を続けられる
高次脳機能障害のある方は、就労継続支援B型を活用することで、生活リズムを整えながら社会参加を続けることができます。
この記事のポイントを振り返ります。
- 高次脳機能障害は精神障害者保健福祉手帳の取得対象であり、B型の受給者証申請が可能
- 症状(記憶・注意・遂行機能障害など)に合わせた個別支援が受けられる
- 体験利用から始め、週2〜5日のペースで通所できる
- 自己負担は多くの場合0円で利用可能
- 相談窓口は精神保健福祉センター・相談支援事業所が窓口になる
高次脳機能障害のある方、またはご家族で就労や生活の立て直しを考えている方は、ぜひ琉仁福祉会にご相談ください。専門スタッフが丁寧にサポートします。
お住まいの地域で相談できる窓口
就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。
- 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
- 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
- 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
- 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談
「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。
沖縄・埼玉にお住まいの方へ
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県川口市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。

