レジリエンスとは、ストレスや失敗などの困難に直面しても、しなやかに立ち直っていく力のことです。精神障害のある方の回復を考えるうえで、近年よく使われる言葉になっています。
精神保健福祉士として多くの方の回復に関わる中で、「もともと強い人だけが持つ力」ではなく、環境や習慣の中で育てていける力だと感じています。
この記事で分かること
- レジリエンスの意味と、「強さ」との違い
- 日常で回復力を育てる5つの習慣
- 周囲の支え方と、困ったときの相談先
結論:レジリエンスは「折れない力」ではなく「戻ってくる力」
レジリエンスは、悩まない力や我慢する力ではありません。落ち込んだあとに少しずつ元の生活へ戻っていく力です。
調子を崩すこと自体は、誰にでも起こります。大切なのは、崩れたときに頼れる人や手段を持っておくことです。
レジリエンスとは?意味と「ストレス耐性」との違い
レジリエンスは、もともと「弾力」「回復力」を意味する言葉です。心理学や福祉の分野では、逆境から回復する過程や力を指して使われます。
ストレス耐性が「受け止めて耐える力」だとすると、レジリエンスは「受けたあとに立て直す力」です。耐えすぎる必要はありません。
| 項目 | ストレス耐性 | レジリエンス |
|---|---|---|
| イメージ | ストレスに耐える | ストレスから立ち直る |
| 大切にすること | 我慢・踏ん張り | 休息・助けを求める |
| 育て方 | 慣れるまで挑戦する | 習慣・環境・つながりを整える |
レジリエンスはなぜ精神障害のある方の回復に大切なのか
精神障害のある方の回復は、一直線に進むものではありません。良い時期と調子を崩す時期をくり返しながら進む方が多くいます。
そのため「調子を崩さないこと」よりも、「崩れても立て直せること」を目標にするほうが現実的です。この考え方は、リカバリー(精神障害当事者の回復)の視点ともつながっています。
レジリエンスを育てる5つの習慣
1. 生活リズムを整える
睡眠・食事・日中の活動の時間を、できるだけ一定にします。完璧でなくて構いません。「起きる時間だけ決める」といった小さな一歩から始めましょう。
2. 気持ちを言葉にする
不安やイライラを紙に書き出すだけでも、気持ちが整理されやすくなります。話せる相手がいれば、共有することも助けになります。
3. 小さな「できた」を記録する
「朝起きられた」「散歩した」など、ささいなことで十分です。自己肯定感を支える材料になります。当事者の強みに注目するストレングス視点とも相性が良い方法です。
4. 調子を崩す前のサインを知る
眠れない、食欲が落ちるなど、自分なりの前ぶれを把握しておきます。サインに気づいたら休む、相談するといった行動を決めておくと安心です。
5. 頼れる人やつながりを持つ
家族、主治医、相談支援専門員、仲間など、頼れる先を複数持つことが大切です。同じ経験を持つ人同士で支え合うピアサポートも、立て直しの力になります。
レジリエンスが低いと感じるときはどうすればいい?
「自分は回復力が弱い」と感じる方もいますが、それは性格の問題とは限りません。疲れや環境の負担が重なっているだけかもしれません。
まずは休むことを優先してください。つらさが続くときは、一人で抱えず、主治医やお住まいの自治体の窓口へ相談しましょう。
レジリエンスを高める習慣を続けるコツは?
習慣は、完璧を目指すと続きません。「できない日があっても良い」と最初から決めておくことが、長続きの秘訣です。
次の3ステップで、無理なく始めてみてください。
- 5つの習慣から、今日できそうなものを1つだけ選ぶ
- 1週間続けて、気分や体調の変化をメモする
- 合わなければ別の習慣に変える
合わないと感じたら、それは失敗ではなく「自分に合う方法を知れた」という成果です。回復力は、試行錯誤の中で育っていきます。
レジリエンスを育てるときの注意点
レジリエンスを意識しすぎて、「もっと強くならなければ」と自分を追い込む方がいます。これは本来の意味と逆の方向です。
休むことや助けを求めることも、立ち直るための大切な行動です。また、症状が強いときや眠れない日が続くときは、習慣づくりよりも治療や休養が優先されます。判断に迷う場合は、必ず主治医や支援者に相談してください。
仕事や福祉サービスの中でレジリエンスを育てる方法
働く経験は、達成感や役割を通じて回復力を育てる場になることがあります。ただし、無理をすると逆効果になります。
就労継続支援B型は、事業所によって、体調に合わせて通う日数や時間を相談しながら決められる場合があります。詳しくは就労継続支援B型とはの記事をご覧ください。制度の概要は、厚生労働省の障害福祉サービスの解説でも確認できます。
家族や周囲の人ができるレジリエンスの支え方
- 励ましすぎず、まず話を聴く
- 「できたこと」に目を向けて伝える
- 休むことを責めない
- 支援者や専門機関につなぐ
支える側の疲れも大切です。家族だけで抱え込まず、相談窓口を使ってください。
よくある質問
Q. レジリエンスは生まれつきの性格ですか?
A. 生まれつきだけで決まるものではないと考えられています。経験や環境、周囲の支えによって育つ部分も大きいとされています。焦らず、できることから取り組んでみてください。
Q. 調子を崩してしまうのはレジリエンスが低いからですか?
A. 必ずしもそうではありません。病状や環境の変化で、誰でも調子を崩すことがあります。崩れたあとに休み、相談できていること自体が回復力の表れです。
Q. レジリエンスを高めるのにどのくらいかかりますか?
A. 個人差が大きく、一概には言えません。短期間で変えようとせず、生活の中で少しずつ積み重ねるのが現実的です。不安な場合は主治医や支援者に相談してください。
Q. 相談先はどこですか?
A. 主治医、お住まいの市区町村の障害福祉窓口、相談支援事業所などがあります。どこに相談すればよいか迷うときは、自治体の窓口で案内を受けられます。
琉仁福祉会でできること
NPO法人琉仁福祉会では、就労継続支援B型を運営しています。一人ひとりの体調やペースに合わせた働き方を、一緒に考えます。見学や体験利用のご相談もお気軽にどうぞ。
まとめ
レジリエンスは、困難から立ち直るしなやかな力です。生活リズム、気持ちの言語化、小さな成功の記録、前ぶれのサインの把握、つながりの5つを意識することで、少しずつ育てられます。
つらいときは一人で抱えず、専門家や身近な支援につながってください。
