短期入所は、障害のある方が介護者の急病・冠婚葬祭・疲弊などで一時的に自宅での生活が難しくなったとき、施設に宿泊して支援を受けられる障害福祉サービスです。精神保健福祉士として現場に関わるなかで、「家族が突然入院して帰る場所がない」「体調が悪くひとりで過ごすのが不安」といった相談を多く受けてきました。この記事では短期入所の対象者・申請手順・費用・就労継続支援B型との組み合わせ方をわかりやすく解説します。
結論を先にお伝えします。短期入所は受給者証があれば比較的利用しやすいサービスです。まだ受給者証をお持ちでない方も、市区町村の窓口や相談支援専門員に相談することで、申請を並行して進められます。
短期入所とは|障害福祉における宿泊型の一時支援サービス
短期入所とは、障害者総合支援法第5条第8項に基づく障害福祉サービスのひとつです。介護者である家族が病気・けが・出産・冠婚葬祭・介護疲れなどで一時的に支援できなくなったとき、障害のある方が施設に短期間宿泊して日常生活の支援を受けます。「ショートステイ」とも呼ばれます。
緊急時だけでなく、定期的に利用することで家族の介護負担を軽減する「レスパイトケア」の目的でも活用されています。精神疾患のある方にとっても、生活環境が一時的に変わることで気分転換になる場合があります。
短期入所を含む障害福祉サービスの詳細な種類・内容については、厚生労働省の障害福祉サービスの内容もご参照ください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 短期入所(障害者総合支援法第5条第8項) |
| 別称 | ショートステイ |
| 利用期間の目安 | 原則30日以内(緊急時は市区町村の判断で延長可) |
| 対象者 | 障害支援区分1以上の認定を受けた方(精神障害者含む) |
| 費用の原則 | サービス費の1割負担+食費・光熱費の実費 |
| 必要な手続き | 受給者証の取得・計画相談支援・施設との契約 |
短期入所の対象者|精神障害のある方も利用できます
短期入所を利用できるのは、障害支援区分1以上の認定を受けた方です。身体障害・知的障害・精神障害・難病のある方が対象で、精神疾患のある方も含まれます。
対象となる方の主な例は以下のとおりです。
- 統合失調症・うつ病・双極性障害などの精神疾患のある方
- 発達障害(ADHD・自閉スペクトラム症など)のある方
- 精神障害者保健福祉手帳を取得している方
- 受給者証をお持ちの方(障害福祉サービス受給者証)
- 介護者(家族)が一時的に支援できない状況になった方
なお、障害支援区分の認定を受けていない場合でも、緊急やむを得ない事情がある場合は市区町村の判断で特例的に利用できることがあります。まずは担当の相談支援専門員や市区町村窓口にご相談ください。
短期入所を利用できる施設の種類
短期入所を提供する施設は複数の種類があります。受け入れる障害の種別や設備が異なるため、自分に合った施設を選ぶことが重要です。
- 福祉型短期入所:身体・知的・精神障害のある方が対象。食事・入浴・排せつなどの日常生活支援を提供する施設
- 医療型短期入所:医療的ケアが必要な方が対象。看護師が配置された医療機関が運営する施設
- グループホーム併設型:グループホーム(共同生活援助)の空き室を活用した短期入所。少人数で生活に近い落ち着いた環境が特徴
精神疾患のある方には、環境の変化が少ない少人数のグループホーム併設型が合いやすい場合があります。ただし施設によって受け入れ条件が異なるため、事前確認が必要です。
短期入所の申請手順|ステップ別にわかりやすく解説
短期入所を利用するまでの流れをステップ別にご説明します。精神保健福祉士として、申請で迷いやすいポイントにも触れながら解説します。
- 市区町村の窓口または相談支援事業所に相談
まず住んでいる市区町村の障害福祉担当窓口、または担当の相談支援専門員に利用したい旨を伝えます。緊急の場合は、施設へ直接電話して空き確認をする方法もあります。 - 受給者証・障害支援区分の確認
すでに受給者証をお持ちの方は、短期入所が支給量に含まれているか確認します。含まれていない場合は支給量の変更申請が必要です。 - 障害支援区分の認定申請(未取得の場合)
区分認定を受けていない方は、市区町村に認定調査を申請します。主治医の意見書と認定調査員による聞き取り調査をもとに区分が決定されます。 - サービス等利用計画の作成・変更
相談支援専門員が短期入所を含む計画相談支援を行い、サービス等利用計画を作成または変更します。 - 利用する施設と契約
候補となる施設に見学・体験を申し込み、空き状況を確認のうえ契約します。持病の薬や生活スタイルについて事前に伝えておくとスムーズです。 - 利用開始
常用薬・着替え・洗面用具などを準備して利用を開始します。初日は不安を感じやすいため、慣れるまで短めの利用からはじめることをおすすめします。
短期入所の費用と自己負担のめやす
短期入所の費用は、障害者総合支援法に基づく「応能負担」(収入に応じた自己負担)が原則です。サービス費の1割を負担しますが、世帯収入によって月額上限額が設けられているため、実際の負担は抑えられます。
| 世帯の収入状況 | 月額上限額 |
|---|---|
| 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 市町村民税非課税世帯(低所得1・2) | 0円 |
| 市町村民税課税世帯(一般1) | 9,300円 |
| 市町村民税課税世帯(一般2) | 37,200円 |
このほかに食費・光熱費・日用品費などの実費が別途かかります。施設によって金額は異なりますが、1泊あたり1,000〜2,500円程度が目安です。生活保護受給世帯は食費も減免される場合があります。詳しくは利用を検討している施設にご確認ください。
なお、自立支援医療は短期入所には適用されません。短期入所は障害福祉サービスとして別の費用体系が適用されます。医療と福祉サービスは費用体系が異なる点に注意が必要です。
短期入所と就労継続支援B型を組み合わせる活用法
短期入所と就労継続支援B型は、同じ期間に組み合わせて利用することができます。たとえば「夜間は短期入所施設に宿泊し、日中はB型事業所に通う」という使い方が可能です。短期入所を活用することで、体調管理しながら就労支援への参加を継続できます。
このような組み合わせが役立つ場面を以下に示します。
- 家族が急に入院し、一時的に帰る場所が確保できなくなった場合
- 自宅の改修・引っ越しなどで一時的に別の居場所が必要な場合
- 体調が不安定で単身生活が難しくなったが、就労意欲を維持したい場合
- グループホームへの移行前に施設生活を体験したい場合
- 定期的なレスパイトとして、本人・家族ともにリフレッシュしたい場合
B型事業所のスタッフが短期入所施設と連携することで、日中と夜間を通じた一貫した支援体制が整います。琉仁福祉会では、複合的なニーズに対応するためのコーディネートも行っています。
短期入所に関するよくある質問
Q. 精神障害のみでも短期入所を利用できますか?
はい、利用できます。精神障害者保健福祉手帳の有無にかかわらず、障害支援区分1以上の認定があれば短期入所の対象です。主治医の意見書をもとに区分認定の調査が行われます。
Q. 受給者証がなくても緊急利用できますか?
市区町村の判断によって、緊急時に受給者証なしで利用できる場合があります。ただし事後的に手続きが必要です。緊急の場合はまず市区町村の窓口か相談支援事業所に連絡してください。
Q. 短期入所の空きがない場合はどうすればよいですか?
相談支援専門員が複数の施設に問い合わせてくれます。地域によっては「緊急時短期入所」の仕組みを持つ施設もあります。日頃から担当の相談支援専門員と連絡を取り合い、早めに候補施設をリストアップしておくと安心です。
Q. 何日まで利用できますか?
支給決定された日数の範囲内で利用できます。一般的には月に数日から30日以内が目安ですが、必要に応じて支給量を増やす変更申請もできます。担当の相談支援専門員にご相談ください。
Q. 薬を持参しても大丈夫ですか?
はい、常用薬は必ず持参してください。施設スタッフに薬の管理を依頼することもできます。精神科の薬については、薬の種類・用法・副作用を施設に事前に伝えておくとスムーズです。
Q. 精神科への通院は継続できますか?
短期入所中も通院を継続することができます。施設スタッフが通院への同行を支援してくれる場合もあります。通院日程が決まっている場合は、施設との契約時に伝えておきましょう。
琉仁福祉会へ短期入所のご相談をどうぞ
NPO法人琉仁福祉会は、沖縄市・埼玉県で就労継続支援B型を運営しています。短期入所の利用に関するご相談や、地域の施設情報のご案内、受給者証の申請サポートについて、精神保健福祉士として丁寧に対応いたします。
「どこに相談すればよいかわからない」「急な状況で困っている」という方も、まずはお気軽にお問い合わせください。あなたの状況に合った支援の選択肢をいっしょに考えます。医療的なアドバイスはかかりつけ医にご相談いただきつつ、福祉サービスの活用については琉仁福祉会がサポートします。
まとめ|短期入所で緊急時も安心して支援を続けられます
短期入所は、介護者が一時的に支援できなくなった緊急時に、障害のある方を守る重要な制度です。精神疾患のある方も対象となります。
- 短期入所は障害者総合支援法に基づく宿泊型の障害福祉サービス(別名:ショートステイ)
- 対象は障害支援区分1以上の方(精神障害者も含む)
- 費用は応能負担(原則1割)+食費・光熱費の実費、低所得世帯は自己負担ゼロも可
- 就労継続支援B型と組み合わせて「夜間:施設宿泊/日中:B型通所」という使い方が可能
- 利用には受給者証と計画相談支援が必要(緊急時は例外あり)
短期入所の詳細は市区町村窓口や相談支援事業所に確認し、急な事態に備えて事前に候補施設を把握しておくと安心です。琉仁福祉会では、短期入所を含む障害福祉サービスの活用について、精神保健福祉士が幅広くご相談に応じています。
お住まいの地域で相談できる窓口
就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。
- 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
- 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
- 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
- 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談
「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。
沖縄・埼玉にお住まいの方へ
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県川口市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。

