二次障害という言葉をご存じでしょうか。二次障害は、発達障害の特性が周囲に理解されないまま重なるストレスから生じる心の不調で、「発達障害の特性そのものより、その後に出てきたうつや不登校の方が苦しい」と感じる方や、そのご家族は少なくありません。
この記事では、就労継続支援B型事業所の現場で相談を受けてきた精神保健福祉士の立場から、二次障害の症状・原因・予防のポイントを分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- 二次障害とは何か、代表的な3つの症状
- 二次障害が起こりやすい背景と予防のポイント
- 二次障害があるときの相談先と働き方の工夫
結論から言うと、二次障害は発達障害そのものではなく、周囲の理解不足や失敗体験の積み重ねなど、環境要因が大きく影響して生じることが多いとされています。早めに気づき、環境を調整することで、負担を軽くできる可能性があります。
二次障害とは
二次障害とは、発達障害(ADHD・自閉スペクトラム症など)の特性そのものではなく、その特性が周囲に理解されないまま叱責や失敗体験が積み重なることで、二次的に生じるうつ状態や不安、不登校、対人関係の困難などを指す言葉です。発達障害の診断がある方だけでなく、特性があっても診断に至っていない、いわゆるグレーゾーンの方にも起こり得ます。
二次障害と発達障害(一次障害)の違いは?
発達障害そのもの、つまりADHDや自閉スペクトラム症などの特性は「一次障害」と呼ばれることがあります。これは生まれつきの脳機能の特性であり、育て方や本人の努力不足によるものではありません。一方、二次障害は、その特性が周囲との間で摩擦を生み、叱責や失敗体験が積み重なることで後から生じる状態を指します。同じ発達障害があっても、環境や周囲の関わり方によって二次障害が現れるかどうかは変わってくると考えられています。
二次障害はなぜ起こる?原因は?
二次障害は、次のような要因が積み重なって生じやすいとされています。
- 特性による失敗が「本人の努力不足」として叱責され続けること
- 周囲との違いを繰り返し指摘され、自己肯定感が下がること
- 環境(学校・職場など)の配慮が不足し、ストレスが慢性化すること
特性そのものよりも、こうした環境との相互作用が二次障害の発生に大きく関わっていると考えられています。
二次障害の具体的な症状にはどんなものがある?
二次障害として現れやすい症状は、大きく3つに分けて整理できます。
| 症状の種類 | 具体的な状態 |
|---|---|
| 気分の不調 | 抑うつ気分、意欲の低下、不安の強まりなど |
| 行動面の変化 | 不登校、ひきこもり、反抗的な言動、攻撃性の高まりなど |
| 身体的な不調 | 頭痛、腹痛、不眠など、ストレスに伴う身体症状 |
これらの症状は他の精神疾患でも見られるため、自己判断せず、医療機関での相談を通じて状況を整理していくことが大切です。
二次障害を予防する方法は?
二次障害の予防には、次のような視点が大切だとされています。
- 特性の早期理解:本人や周囲が特性を理解し、「できないこと」ではなく「特性に合った関わり方」として捉え直すこと
- 環境の調整:学校や職場で合理的配慮を求め、無理のない環境を整えること
- 安心できる相談先の確保:困ったときに相談できる場所を早めに持っておくこと
特性を否定されない経験を積み重ねることが、二次障害の予防につながると考えられています。
二次障害が現れたときの相談先は?
二次障害の症状がみられる場合は、まず精神科や心療内科への相談が選択肢になります。通院にかかる医療費については、自立支援医療(精神通院)とはの記事で制度を解説していますので、あわせてご覧ください。医療機関のほか、発達障害者支援センターや精神保健福祉センターなど、福祉的な相談窓口も活用できます。
二次障害と就労継続支援B型の関係は?
二次障害によってうつ状態や不安が強くなり、一般就労が難しくなった場合でも、就労継続支援B型のように自分のペースで働ける場を活用することで、少しずつ自信を取り戻していけるケースがあります。特性に合わせた作業内容や休憩の取り方を相談しながら働けることも、B型事業所の特徴です。詳しくは就労継続支援B型とはの記事をご参照ください。
よくある質問
Q. 二次障害はどんな人に起こりやすいですか?
A. 発達障害の特性が周囲に理解されにくい環境で、叱責や失敗体験が積み重なりやすい方に起こりやすいとされています。診断の有無にかかわらず、特性のある方すべてに起こり得ます。
Q. 二次障害は治りますか?
A. 症状の経過には個人差があります。環境調整や治療、周囲の理解によって落ち着いていく場合もありますが、断定的なことは言えないため、医療機関で継続的に相談することをおすすめします。
Q. 大人になってから二次障害に気づくこともありますか?
A. あります。子どもの頃から特性を抱えながらも診断に至らず、大人になって仕事や対人関係のつまずきをきっかけに、うつ状態などの形で表面化するケースも見られます。
Q. 二次障害の予防にはどんなことができますか?
A. 特性を早めに理解し、責めるのではなく特性に合った関わり方を工夫すること、そして安心して相談できる場所を持っておくことが大切だとされています。
Q. 二次障害があっても就労継続支援B型は利用できますか?
A. 利用できる場合があります。体調やペースに配慮しながら働ける環境かどうかは事業所によって異なるため、見学や相談を通じて確認することをおすすめします。
自分のペースで働ける場所をご相談ください
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型事業所を運営しています。発達障害の特性や二次障害による体調の波がある方にも、精神保健福祉士が寄り添いながら、働き方や生活の相談に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。
まとめ
二次障害は、発達障害の特性そのものよりも、周囲の理解不足や環境要因の積み重ねから生じやすい心身の不調です。気分の不調・行動面の変化・身体的な不調として現れることがあり、特性の早期理解と環境の調整が予防の鍵になります。関連する障害福祉サービスの全体像はWAM NET(福祉医療機構)でも確認できますので、あわせてご活用いただき、気になる症状があれば早めに医療機関や福祉の窓口にご相談ください。
お住まいの地域で相談できる窓口
就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。
- 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
- 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
- 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
- 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談
「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。
沖縄・埼玉にお住まいの方へ
NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県川口市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。

