知的障害と就労継続支援B型|利用条件・支援内容3つを精神保健福祉士が解説

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知的障害のある方が地域で自分らしく働く選択肢のひとつに、就労継続支援B型があります。「知的障害があっても利用できるのか」「どんな支援を受けられるのか」と悩む方やご家族は少なくありません。この記事では、精神保健福祉士として障害福祉の現場に携わる立場から、知的障害の基礎知識と就労継続支援B型での支援内容を整理してお伝えします。

この記事で分かること

  • 知的障害の特性と程度区分(軽度・中度・重度・最重度)の目安
  • 知的障害があっても就労継続支援B型を利用できる条件
  • B型事業所での支援内容や工賃の考え方

結論からお伝えすると、知的障害のある方も、程度や特性に応じた配慮があれば就労継続支援B型を利用できます。ただし利用の可否や必要な手続きは自治体によって異なる部分もあるため、最終的にはお住まいの市区町村の窓口や事業所への相談で確認することをおすすめします。

知的障害とは|特性と原因

知的障害とは、発達期(おおむね18歳未満)に知的機能の発達に遅れがみられ、日常生活や社会生活への適応に困難が生じる状態を指します。原因は先天的な要因、出生時の事情、乳幼児期の疾患・事故などさまざまで、原因が特定できないケースも少なくありません。

知的機能の評価には知能指数(IQ)が用いられることが多く、あわせて言語理解・コミュニケーション・身辺自立・社会性などの適応行動の状況も総合的に見て判断されます。数値だけでなく、日常生活でどの程度の支援が必要かという視点が重視されます。

知的障害の程度区分(軽度・中度・重度・最重度)

知的障害は一般に、軽度・中度・重度・最重度の4段階で区分されることが多く、程度によって必要な支援の量や内容が変わります。以下は目安であり、実際の判定は児童相談所や知的障害者更生相談所などの専門機関で行われます。

程度 IQの目安 日常生活・特性の目安
軽度 おおむね50〜70程度 会話は概ね可能で、時間をかければ多くの日常生活動作を習得できる
中度 おおむね35〜50程度 簡単な会話や作業は可能だが、生活面で継続的な支援が必要
重度 おおむね20〜35程度 日常生活の多くの場面で個別的な支援を要する
最重度 おおむね20未満 常時、手厚い個別支援を必要とする

※数値はあくまで目安です。正確な程度区分や判定は、必ず専門機関の診断・判定結果に基づいてご確認ください。

知的障害と発達障害の違い

知的障害と発達障害は混同されやすいテーマですが、制度上は異なる概念です。発達障害は自閉スペクトラム症やADHDなど、知的な遅れの有無にかかわらず対人関係やこだわり、注意集中などに特性が見られる状態を指します。知的障害を伴う発達障害の方もいれば、知的障害のない発達障害の方もいます。

支援を受ける際に取得する手帳も異なり、知的障害の場合は主に療育手帳、精神障害・発達障害の場合は精神障害者保健福祉手帳が対象となることが一般的です。手帳の種類によって使える福祉サービスや割引制度が変わることもあるため、詳しくは療育手帳とはの記事もあわせてご覧ください。

知的障害があっても就労継続支援B型を利用できる条件

就労継続支援B型は、障害や難病により一般企業での就労が難しい方が、雇用契約を結ばずに軽作業などを行いながら工賃を得られる障害福祉サービスです。知的障害のある方も、次のような条件に当てはまれば利用を検討できます。

  1. 就労経験があり、年齢や体力面で一般就労が難しくなった方
  2. 就労移行支援などを利用したが、一般就労に結びつかなかった方
  3. 上記に該当しない場合でも、50歳に達している方や、就労アセスメントで利用が適当と判断された方など、他の要件で対象となる場合があります

利用には障害福祉サービス受給者証の取得が必要です。療育手帳をお持ちでない場合でも、医師の診断書などにより対象と判断されることがあります。制度の詳しい内容は厚生労働省の障害福祉サービスのご案内もご参照ください。

就労継続支援B型での支援内容と配慮の工夫

知的障害のある方がB型事業所を利用する際は、特性に合わせた配慮が行われます。代表的な工夫は次のとおりです。

  • 作業手順を写真やイラストで示し、視覚的に理解しやすくする
  • 一つひとつの指示を短く区切り、繰り返し確認しながら進める
  • 生活支援員やサービス管理責任者が個別支援計画を作成し、本人のペースに合わせた目標を設定する
  • 得意な作業を見つけ、成功体験を積み重ねられる環境をつくる

こうした支援は、コミュニケーション面での不安を減らし、安心して通所を続けられることにつながります。特別支援学校を卒業後、進路のひとつとしてB型を選ぶ方も少なくありません。

知的障害のある方の工賃はどれくらい?

工賃は事業所や作業内容によって差があり、全国一律の金額が決まっているわけではありません。軽作業や施設外就労など、事業所ごとに提供している作業内容によっても変わってきます。工賃の目安や事業所選びのポイントは、就労継続支援B型とはの記事でも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

一般就労を目指す場合のステップ

B型での経験を積んだのち、一般就労や特例子会社への就職を目指す方もいます。その場合は、就労移行支援への移行や、ハローワークの障害者窓口、障害者就業・生活支援センターなどと連携しながら、段階的にステップアップしていく方法が考えられます。焦らず、本人の希望や体調に合わせたペースで進めることが大切です。

よくある質問

Q. 知的障害とはどのような状態ですか?

A. 発達期に知的機能の発達に遅れがみられ、日常生活や社会生活への適応に困難が生じている状態を指します。原因はさまざまで、特定できないこともあります。

Q. 知的障害の程度はどのように決まりますか?

A. 知能指数(IQ)に加え、コミュニケーションや身辺自立などの適応行動の状況を総合的にみて、児童相談所や専門機関が判定します。正確な程度は必ず専門機関の判定結果をご確認ください。

Q. 知的障害があっても就労継続支援B型を利用できますか?

A. 就労経験や年齢、就労アセスメントの結果などの条件に該当すれば利用を検討できます。療育手帳がなくても医師の診断書等で対象となる場合があるため、まずはお住まいの自治体窓口や事業所にご相談ください。

Q. 知的障害と発達障害はどう違いますか?

A. 発達障害は知的な遅れの有無にかかわらず対人関係や注意集中などに特性がみられる状態で、知的障害を伴う場合と伴わない場合があります。取得できる手帳の種類も異なることがあります。

NPO法人琉仁福祉会からのご案内

NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市と埼玉県で就労継続支援B型事業所を運営しています。精神保健福祉士である理事長の田中圭周をはじめ、生活支援員が一人ひとりの特性に合わせた個別支援計画を作成し、安心して通える環境づくりに取り組んでいます。知的障害のある方やそのご家族からのご相談、事業所見学も随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

知的障害のある方も、程度や特性に応じた配慮のもとで就労継続支援B型を利用できます。程度区分や発達障害との違いを理解したうえで、療育手帳の有無にかかわらずまずは自治体窓口や事業所に相談してみることが、安心できる働き方を見つける第一歩になります。