障害者優先調達推進法とは|B型事業所の工賃を支える3つの仕組みを精神保健福祉士が解説

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障害者優先調達推進法は、国や自治体が障害のある方の働く施設から、物品やサービスを優先的に購入するための法律です。就労継続支援B型の工賃を支える土台のひとつになっています。

精神保健福祉士として現場で相談を受けていると、「B型の仕事はどこから来るの?」という質問をよくいただきます。その答えのひとつが、この制度です。

この記事で分かること

  • 障害者優先調達推進法の目的と基本的な仕組み
  • 対象になる障害者就労施設と、買われる物品・役務の具体例
  • B型事業所の工賃や利用者さんの働き方との関係

結論:障害者優先調達推進法は「仕事を安定して届ける」ための制度です

この法律は、障害のある方が働く施設の受注機会を増やすことを目的としています。国や自治体が率先して発注することで、施設の仕事が安定しやすくなります。

仕事が安定すると、工賃の向上にもつながります。ただし、すべての事業所が同じように受注できるわけではありません。個々の状況は事業所ごとに異なります。

障害者優先調達推進法とは?制度の目的と背景

正式名称は「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」です。2013年4月に施行されました。

背景には、障害のある方の工賃が低い水準にとどまってきた現状があります。施設が安定して仕事を得られなければ、工賃は上がりにくいからです。

そこで、国や独立行政法人、自治体などの公的機関が、障害者就労施設から優先的に購入する流れがつくられました。これは「官公需」と呼ばれる公的機関の発注にあたります。

障害者優先調達推進法の3つの仕組み

制度は大きく分けて、次の3つの仕組みで動いています。

  1. 調達方針の作成:公的機関が毎年度、障害者就労施設からの調達目標などを定めます。
  2. 優先的な発注:物品や役務を買うとき、対象の施設からの購入を優先的に検討します。
  3. 実績の公表:年度が終わったあと、どれだけ調達したかを公表します。

調達は競争入札だけでなく、随意契約などの方法を活用する場合もあります。具体的な運用は、発注する機関ごとに異なります。

障害者優先調達推進法の対象になる施設はどこ?

対象は「障害者就労施設」などと呼ばれる施設です。就労継続支援A型・B型、就労移行支援、生活介護などの事業所が含まれます。

まだB型という仕組みがよく分からない方は、就労継続支援B型の対象者・工賃・1日の流れを先にご覧ください。

このほか、在宅で就労する障害のある方なども対象に含まれます。詳しい範囲は、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

どんな物品・役務が調達されている?具体例と受注の流れ

調達の対象は、大きく「物品」と「役務」に分かれます。物品は形のある商品、役務はサービスの提供を指します。

区分 具体例
物品 食品・菓子、紙製品、封筒、名刺、木工品、雑貨
役務 清掃、印刷、データ入力、封入・発送作業、施設の軽作業

受注までの流れは、おおむね次のとおりです。

  1. 公的機関が調達方針を公表する
  2. 事業所が見積もりや提案を出す
  3. 条件が合えば契約し、納品・作業を行う

事業所が単独で営業するのは大変です。そのため、複数の事業所をまとめる「共同受注窓口」が間に入る地域もあります。

B型事業所の工賃とどう関係する?

B型事業所の工賃は、事業所が仕事で得た収入から支払われます。受注が増えれば、工賃の原資も増えやすくなります。

工賃の水準や考え方については、B型工賃の平均と事業所選びのポイントで整理しています。あわせて工賃向上計画の取り組みもご覧ください。

ただし、優先調達だけで工賃が決まるわけではありません。民間企業からの受注や、自主製品の販売も大切な収入源です。

障害者優先調達推進法にデメリットや課題はある?

制度があっても、現場には課題が残ります。知っておくと、事業所選びの視点が広がります。

  • 公的機関側の発注が、特定の施設や品目に偏る場合がある
  • 納期や品質の要求に、小規模な事業所が対応しづらい場合がある
  • 利用者さんの体調の波に合わせた作業量の調整が必要になる

無理な受注は、利用者さんの負担になります。体調を優先できる体制かどうかを、見学のときに確認すると安心です。

事業所を選ぶときに確認したい3つのポイント

利用を考えている方は、次の点を質問してみてください。

確認すること 理由
公的機関からの受注の有無 仕事の安定度の目安になります
作業内容の種類 自分の得意や体調に合う仕事を選べます
体調に合わせた調整の仕組み 無理なく通い続けるために重要です

B型と移行支援のどちらが合うか迷う場合は、就労継続支援B型と就労移行支援の違いも参考になります。

よくある質問

Q. 障害者優先調達推進法とは何ですか?

A. 国や自治体などが、障害者就労施設から物品やサービスを優先的に購入するための法律です。施設の仕事を増やし、工賃の向上を後押しすることが目的とされています。

Q. 利用者が自分で手続きをする必要はありますか?

A. 利用者さんご本人が手続きをする必要は、通常ありません。受注や契約は事業所が行います。気になる場合は、利用中の事業所にご確認ください。

Q. この制度があれば、B型の工賃は必ず上がりますか?

A. 必ず上がるとは言えません。受注が増えても、事業所の運営や作業量によって工賃は変わります。工賃の考え方は事業所ごとに異なるため、見学時に確認することをおすすめします。

Q. どんな品物やサービスが対象ですか?

A. 食品、紙製品、雑貨などの物品や、清掃、印刷、データ入力などの役務が代表的です。対象範囲の詳細は、各機関の調達方針をご確認ください。

Q. 自治体ごとの取り組みはどこで確認できますか?

A. お住まいの自治体の障害福祉担当窓口や、公式サイトで公表されている調達方針・実績でご確認いただけます。不明な点は窓口にお問い合わせください。

琉仁福祉会にご相談ください

NPO法人琉仁福祉会は、沖縄県沖縄市で就労継続支援B型を運営しています。「自分に合った仕事があるか知りたい」「見学だけでも相談したい」という方も歓迎です。

精神保健福祉士が、制度の疑問から事業所選びまで丁寧にお答えします。お気軽にご連絡ください。

まとめ

障害者優先調達推進法は、障害のある方が働く施設の仕事を安定させ、工賃の向上を後押しする制度です。調達方針の作成・優先的な発注・実績の公表という3つの仕組みで動いています。

制度の最新情報は、厚生労働省の障害福祉サービスのページや、WAM NETでも確認できます。ご自身の状況に合うかどうかは、お住まいの自治体の窓口や相談支援専門員にご相談ください。

お住まいの地域で相談できる窓口

就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービスの相談先は、お住まいの市区町村にあります。遠方の事業所を探すより、まず地元の窓口に当たるのが近道です。

  • 市区町村の障がい福祉担当窓口 — 受給者証の申請、制度全般の相談
  • 相談支援事業所 — サービス等利用計画の作成、事業所探しの相談
  • 基幹相談支援センター — 地域の相談支援の中核となる機関
  • 都道府県の精神保健福祉センター — こころの健康に関する専門相談

「どこに聞けばいいか分からない」という場合は、お住まいの市区町村の代表番号に電話して「障害福祉サービスについて相談したい」とお伝えください。担当窓口につないでもらえます。

沖縄にお住まいの方へ

NPO法人琉仁福祉会では、沖縄県沖縄市で就労継続支援B型事業所を運営しています。見学やご相談をご希望の方は 琉仁福祉会の公式サイト をご覧ください。お問い合わせフォーム からもご連絡いただけます。